Short

□女の子のロマンス
1ページ/1ページ


「ブレイクダウンさん、ブレイクダウンさん」

 今日も小さい奴が来た。
 無視をすればいい話なんだが、実戦済みで意味がない。
 こいつは無視をしても名前を繰り返し言ってくるのだ。

「今日は何だ」
「お姫様抱っこしてください」

「……オヒメサマダッコ?」

 いかん。
 カタコトになってしまった。
 しかし、オヒメサマダッコとは何なんだ。
 多分、地球の言語なのだろうと思う。

「えぇッ!?
ブレイクダウンさん、お姫様抱っこ知らないんですかッ!?」

 かなり驚かれてしまった。
 何故、知ってて当たり前という態度をとられないといけないのか理解できんが、何か凄いモノらしい。

「お姫様抱っこは女の子のロマンスですよッ!!
通常の抱っことは違った……」

 前言撤回。
 そうでもなかった。
 長々と説明していくブレイクオーバーのはなしを右から左へと受け流す。
 最初の一言目から、俺には無関係だと直感だが確信した。

「……以上がお姫様抱っこです。
解りましたか?」
「取り敢えず、女にしか理解できん事は解った」

 そう言うと少しブレイクオーバーに睨まれた。

「とにかく、ブレイクダウンさんは大きいのでしゃがんでください」

 何が「とにかく」かは解らないが、言われた通りにしゃがんだ。

「次に手を構えて……違います。
戦う訳じゃないんですから、グーで構えないで」

 「構えろ」と言われたら反射的に戦闘体勢に入ってしまう。
 しかし、オヒメサマダッコとは面倒なものだ。

 ブレイクオーバーが俺の首に手を掛け、両掌に座る。
 こいつは何をしているのかと思ったが、これもオヒメサマダッコの一部なのだろう。
 
「立ってください、ブレイクダウンさん」

 俺は言われた通りに立った。
 俺の左掌はブレイクオーバーの腰に、右掌は足の関節に。
 何というか本当に、これは凄い構図だと思う。

 オートロボット共やノックアウトには見られたくない。
 時にノックアウトには。

 しばらくこの体勢でいたが、会話は無かった。
 かなりカオスな画面になっている事だろう。


「……そろそろ降ろすぞ」

 ブレイクオーバーの有無を聞かずに降ろした。

「ありがとうございました」

 ブレイクオーバーは礼をして、走って何処かへ行った。

 オヒメサマダッコをし終えたこの何とも言えない感情。
 ブレイクオーバーのいうロマンスは解らなかったが、まぁ、悪いものではなかった。





…………後書き

ブレイクダウンの名前ですが、ブレークダウンかどっちか解りませんでした←

ブレイクダウンって隻眼になってワイルドになりましたよね。

いや、この小説書いてるとき妥協しかけました。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ