銀時×月詠 短編

□二人の距離は何メートル?
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※銀時月詠おつきあい前設定




「二人の距離は何メートル?」



ある日の夕刻―

今日も今日とてひのやに食事をねだりに来た万事屋一家

「銀さん新八君神楽ちゃんさ、いっぱい食べて きょうはね肉じゃがいっぱい作ったのよ」

ひのやの女主人日輪がひのやの従業員に米櫃5つと肉じゃが、サラダ、アジの塩焼きを万事屋3人の待つ客間に運ばせた

「日輪さんいつも悪いねー 今日1日ご飯しか食ってないしその米ももうからっぽで」

「いいのよたんと召し上がれ そのかわり今度御用聞き頼んでもいいわよね ヨロシク」

日輪の「ヨロシク」ほど恐ろしいものはないのだが今は腹が減っては戦は出来ぬ、とりあえず腹をいっぱいにすることだけに集中する

「そういえば・・・日輪さんあいつは?」

「あいつって?」

「しらばっくれてるねー 晴太はさっき会ってるの見てるでしょ? となるとあいつしかいねーじゃん」

「だからあいつってだあれ?」

「日輪さんわざとでしょ? ・・・月詠だよつ・く・よ!」

銀色のふわふわな天然パーマな髪をボリボリ掻きながら月詠の名前を出す銀時

「ああ月詠ね 月詠はそうさねもうすぐ帰ってくるわよ え?なに?月詠に会いたいの?」

日輪がにっこり微笑みながら聞いてきた 

ヤバい なにかよからぬことを企んでいるに違いない

「なななにいってんの?! あんな無愛想女になんで会いたいだなんて!ジョーダンじゃないよ!」

「別に何でもないわよフフフ」

フフフじゃねーよ何言ってんだこえーよ

「月詠」そう呼んだだけでなんなんだこのモヤモヤ感は!

俺の好みは結野アナのようなおしとやかな女性だってばよ!・・・ってナルト?

あんなほとんど笑わないしすぐクナイ投げてくるわジャーマンかますような女・・・

・・・・アレ?なんでこんなに月詠のことばっか考えてるんだ俺は!

新八神楽は悶々としている20代後半だと思われる万事屋の社長の銀時のこのうろたえた姿を見てはぁ、と同時にため息をついた

「僕たちだって見ればすぐわかるのにね」

「そうアル ツッキーのこと気になるなら早く押し倒してP−とかP−とかしてしまえばいいネ」

「神楽ちゃん何言ってるの?!14歳でしょ?エロ発言しないでよ!」

子供たちがあーだこーだ言っているのに銀時には耳に入っていなかったらしい

たまたま空になった配膳を片付けようとしたひのやの従業員が銀時にお酌をしようと差し出したグラスに注ごうとした瞬間―

「キャ!」

床に蜘蛛が這いずり回っていてそれに気がとられてビールを銀時の着流しのうえにかけてしまった

「わ!冷て! あーあーあー銀さんの服が濡れちまったよ オイオイオイどーすんだ?」

「申し訳ございません! 蜘蛛がいたもので驚きました すいません」

従業員はあわてて自分の腰のエプロンをとって汚れた部分を拭くが下着までしみこんでしまったようで不快感をあらわにする

「日輪さんなんか俺の着るもの貸してよ」

「えー困ったわ 男物なんてないわよ・・・じゃなにかシャツと下着とズボンを買ってくるわ

「いいですよ もったいないんで僕が取りに行きます」

「ほんと?新八くん悪いわね」

「じゃ銀さん脱衣所で脱いでシャワーでも浴びててよ」

「ほーい じゃ新八頼むな」

銀時は濡れた下半身を気にしながら風呂場の方へ向かう

日輪は従業員にむかって親指を立ててウインクした



*****



銀時は風呂場に到着して脱衣所で着ているものを全部脱いでがらっと風呂場の引き戸を引いた瞬間・・・

「あわわわわ!!!だれじゃ!」

スコーンと桶が顔にあたってひっくり返った

がん!

後頭部に頭をぶつけてアイタタタと10秒ほど動けなかったが上半身を起こしてなんだ?何があったんだ?とあたりを見回した

「なななななんでぬしがここに入ってくるんじゃ!」

その声は―つつつくよ?!

そう 吉原の番人 吉原自警団百華頭領 死神太夫月詠が浴槽に入って胸を隠して叫んでいた

おいおい俺だれもいないと思ってマッパよ!・・・てーことは見られた?!俺のアレを?!

たまたまではあるが銀時はフェイスタオルを持っていて銀時が倒れた時に大事なところはうまい具合に隠れていたので月詠には見えていないようであった

あわてて風呂場の引き戸を締めて銀時はため息をついた

「はぁぁぁぁ まいったな ・・・ん?アレ?さっき・・・月詠の胸・・・見えてた・・・かも!」

そう月詠が桶を投げたときに腕でもちろん隠してはいたが乳房はすこし見えていた

将軍がいたあの夏のプールの時に着ていた水着の露出度よりはるかに見えていた!

アイツ・・・マジ巨乳だな・・・ヤベ!おいまずいぞ 早くおさまれってんだ!

銀時は大きくなる自分自身を鎮めようと必死になっていた

「おい月詠!早く出ろよ!お前が出たらすぐ俺入るから!」

「何を言っとる!」

「早くしろよ!俺風邪ひいちまうよマッパなんだから!」

「じゃ着ればよかろうが 服を!」

「だ〜か〜ら〜!服が濡れてるから言ってんの!」

話し方から本当のことだとわかる

しかたない 湯船から出てタオルで胸と下半身を隠し風呂場の引き戸を開けて壁伝いに進む

出たことを確認して銀時はタオルを腰に巻いて風呂場に入る

「あとでちゃんとあやまるから すまん」

銀時は声をかけたが月詠は聞こえてなかったらしく無反応だった

「はああ俺変態みたいじゃねーか」

急いでシャワーを浴びて体を洗いとりあえず寒かったので湯船に入る

それにしてもアイツのケツもぷりっとしてたな・・・あれ?結局見ちまったのか・・・」

いま風呂場から出てくるところから自分が入るところを思い出してみる

もちろん前は見えないが鼠蹊部のあたりから太もも尻のラインは少し見えてしまったようである

あとでどんな顔をして月詠に会えばいいんだろう―悶々とする銀時であった



*****



月詠も体をタオルで拭きながら先ほど見てしまった銀時の体について考えてみた

アイツあんなに甘いもの食べてるくせになんであんなすっきりした体なんじゃ?

ああびっくりした

ほとんど着替えが済んだ瞬間風呂場から声がした

「つくよ 一緒に入るか?」

恐ろしい銀時の声が聞こえてきた

「なに言っとるんじゃ!」

ガラっと引き戸を引きクナイを一本銀時めがけて投げる

もちろん突然だったのでよけきれず額に命中して倒れる

もちろん壁側に倒れたので溺れる心配はない

「まったく何を考えておるんじゃ!」

プンプン怒りながら脱衣所を後にする月詠

「・・・・・・・は?! あぶねえ! 溺れるところだったよ」

気づいた銀時 クナイで刺された場所から血がしたたり落ちる

クナイを抜いて血をシャワーで洗い流す

「ほんとにおぼこな御嬢さんだこと」

先ほどの月詠の慌てっぷりを思い出してニヤニヤする銀時

そして風呂からあがり体を拭きながら

冗談で言ったのにな 本気にしやがって まあいいや いずれ落としてやるからな

それまで待ってろ 月詠

銀時はどうやら月詠への想いを自覚したようだが月詠は自分の気持ちにまだ気づいていないようだ

二人の心の距離はまだ10メートルくらいはあるがいづれ0メートルに近づくであろう
 
銀時は新八が着替えをとって戻ってくるまでのあと数分 銀時は月詠への想いに耽っていた―




END

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