銀時×月詠 短編

□月の雫
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「ふぅ・・・・」

月詠は誰もいない大浴場に入り体を丹念に清めた後露天風呂に入るため外に通じる引き戸をひいた

ここはとある温泉宿

「たまには温泉でもいってらっしゃい」

ちょうど師匠の1周忌も過ぎていたので墓参り件旅行を兼ねて温泉宿に今日は1泊することになった

師匠の墓― おそらく妹君と隣り合わせで二人仲睦まじく眠っている

「師匠・・・やすらかに」

月詠は墓前でしばらく動けなかった

結果的に師匠―地雷亜に手を掛けた自分―

そんな自分に師匠の墓参りなどできるはずもない・・・・

―行って来なさいよ―

背中を押してくれたのは日輪であった

そんな日輪の気遣いに感謝しつつ今日無事に墓参りを終えたのだ

師匠はわっちが来たことを許してくれただろうか―

そんなことを思いながら月詠は空を見上げた

空は満天の星空で吸い込まれそうに蒼く星たちの灯りできらきら輝いている

そして満月―

師匠を手にかけた時も満月だった

それは月詠を照らして包み込むようなあたたかな光であった

銀時・・・・・

月を眺めながらあの男のことを考えていた

銀時とはたまに吉原の雑務を依頼して会う程度だ 会えばお互い減らず口を言い合う そんな仲

日輪や百華の連中はなぜか二人のことを色眼鏡で見るがはっきり言って迷惑だ

わっちが銀時に気があるわけないだろうに

だいたい銀時にはかわいいおなごがいっぱい周りにいるじゃろうが

わっちが―入る余地などない・・・・ってあれ?それどーゆー意味じゃ?

なんでわっちがそんなこと考える必要があるんじゃ?

銀時なんか・・・・銀時なんか・・・・

ああ 何考えてるんじゃわっちは!

ざば!と勢いよく温泉から這い出て大浴場に戻りシャワーを頭からかぶり栓を締めた

銀時・・・・わっちの心をかき乱し追って!

もやもやしたまま月詠は大浴場を後にした





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