銀時×月詠 短編

□修羅と天国
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銀時×月詠 お付き合い設定



「修羅と天国」



ある雨の夕方―

銀時と月詠は地上で逢瀬を重ねていた

約二週間ぶりの逢瀬であるがあいにくの雨であった

とりあえず昼に地上と吉原桃源郷を繋ぐエレベーター前で待ち合わせた後に昼食を一緒に取り、

ゲームセンターで遊び、甘味を食べとりとめのないをしたり

銀時が月詠をからかい怒らせてあとであたふたするなど傍から見ればごくごく普通のカップルのようで月詠はいささか照れ臭かった

そして連れ込み宿に入り甘く激しい時を過ごす―


楽しかった逢瀬も終わりを告げる

月詠はこれから夜勤で吉原を護るため今日も自分を身を粉にして奔走する

心配でならないがそれが月詠の本性だから仕方がない

二人はエレベーターの近くまで傘を差し並んで歩いていた

「今度・・・いつ会えるか?」

「うむ・・・仕事がたまってるでの また連絡する」

「オメーはホント仕事人間だな ま、しかたねーか こんな女に惚れた俺が悪いってことで」

「どーゆー意味じゃ」

「こーゆー意味」

そういうと人通りのない路地に誘い込み月詠を壁に押し付けると顔を近づけ唇を重ねる

「!・・ぃや!ぎんと・・・はぁ・・・」

いきなりだったので月詠は激しく抵抗した しかし百戦錬磨の銀時の力にかなうはずもなく手首を掴まれ離さない

月詠は抵抗を諦め銀時が手首を離して月詠の腰に手を回したと同時に銀時の頸にしがみつく

そして口づけはどんどん深くなっていく

月詠の歯を舌でノックすれば月詠が閉じていた口腔を少しだけ開ける

すかさず銀時の舌が入ってきて月詠のそれを最初は優しく突く

捕らえたら最後ねっとり絡み合い口づけは深くなっていく

月詠も慣れない口づけを自分なりに享受する

そろそろ息も絶え絶えになりお互いに限界になったろころでようやく唇が離される

銀色の糸がお互いの唇を繋ぎそしてぷつりと切れた

月詠は息を整えるのに必死で銀時の顔を見ることができない

「これで俺のこと忘れないだろ」

「・・・ばか・・・もの・・・」

月詠は銀時の着流しの袖をギュッと握った

不器用な愛し方しか出来ないこの愛しい女が可愛くて仕方がない

いっそこのまま二人でこの街から―吉原から消えてしまえたら―

いっそのこと二人でまったく二人のことを知らない世界へ飛んで行けたなら―

―できるはずもない お互いにそれぞれの町を必要としているから

銀時はこのかぶき町を 月詠は吉原を

二人にとってこれから起こりゆくことは決して平坦な道ではないだろう

でも―二人で歩んでいくと決めた道―

「地獄でも座敷でもつきあうよ」

そう―確かにこの女に誓った

地獄のどん底まで落ちたって俺はこの女の手を離さない

そう決して―

月詠を深く掻き抱くと聞こえるか聞こえないくらいの声で囁く

「―ずっと一緒だぞ―」

「・・・どうしたのじゃ?」

月詠も銀時にギュッとしがみつく

「・・・・なんでも・・・ねぇよ」

二人は時間ぎりぎりまでずっと抱き合っていた

そして―別れの時

「また・・・な」

「ああ」

繋いでいた手が離れ月詠は吉原へと続く無人のエレベーターに乗り込んだ

扉が閉まる瞬間―

「月詠・・・!あ・・・・!」

言い終わる前に扉が閉まりそしてエレベーターは動き出した

銀時は銀髪を掻きながらくるりと踵を返し自宅の方へ歩いて行った

―アイツ・・・わかったかな?―

照れくささでほくそ笑む銀時であった



一方の月詠は―

―銀時め あんなこと言わなくてもいいじゃろうに―

恥ずかしく両手で両頬を挟み込みながらさっきの言葉の意味を考えていた

<月詠 愛してるよ>

きっと銀時はこう言いたかったのであろう

まったくわっちの心をかき乱しおって・・・仕方のない男じゃ

月詠もこれから銀時への想いを募らせてこれから吉原が番人に戻っていく



この世は修羅か はたまた天国か

それはお互いに寿命を迎えたときにわかるだろう

―その時まで添い遂げようぜ

―その時まで添い遂げようぞ








END

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