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□有心論
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「青峰君は、人間洗浄機ですね」

「なんだよソレ、風呂かよ」

黒い顔はくしゃりとわらう
だから、ぼくも微笑んだ。

「青峰君、好きですよ」

「俺も」

ほら、君がそういうだけで
心が洗われて、きれいになる
ねえ、青峰君。
君もそう思ってくれていますか

「おいテツ、泣いてんのか?」

「はい」

嬉しいからですよ
君がとなりにいるからですよ

「泣き虫だなあ」

「良く言われます」

君があまりにもきれいにわらうから、嬉し涙さえ流せない
もう、僕は笑えているんです

「テツはきれいになくよな」

「青峰はきれいにわらいますね」

思わずつられちゃうくらい、



 
―――あの頃の僕は眩しすぎた


「青峰君」

いま、きみは幾ら呼んでももう僕の前には現れない
僕の心はくすむ一方で
君を求めて流した涙は、自分では止められなくなってしまいました

地球は丸い
命は終わる


当たり前にきづいてしまったから、きみを望んでしまった
ねえ、青峰君
もう君はいないんです

すみっこでなきたいのに
地球は丸いから、
君はいないのに
いのちは続くから、

ぼくは息を止める


そうしたら、

「テツ」

あの頃のきみは僕の左心房のなかにちゃんといて

とくんと脈を打つと、
君を感じるんです
懐かしいですね


「好きだ」


あの頃のきみは、
もういない。


でもいま、きみは
目の前でわらった

きれいなえがお、


「おかえりなさい」
 
 
 

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