□永遠
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「君は、永遠の幸福を信じるかい?」
 
 
白の結晶がしんしんと降り積もる銀世界の中、キャンパスに描き出されたかのように
その純白の上にたつスプレンディドと、ソフィア。
 
 
碧の瞳は凪いでいて、
空と大地が溶け合って無くなってしまった地平線を探していた。
 
 
 
「……信じないわ」

 
ソフィアは少し考えて、口を開く。

 
「私達は、いつかは終わってしまうのよ?」

“永遠を求めるなんて、どうかしていると思う。”

その台詞だけはそっと胸にしまって。
 
 
「ソフィアらしいな、
……そういうトコ、嫌いじゃないけど」
 
 
すうと細くなったスプレンディドの瞳には、ソフィアだけが映っていた。

 
「あら、私には皮肉にしか聞こえないけど」

 
「その他大勢の子達だったら、
絶対信じるって言うだろうからね」

やはり皮肉だったのか。
このヒーローめ、

 
「でも私は、残念ながらその他大勢のつまらない女性は好みじゃないんだ」

 
ソフィアに思いっきり睨まれているが、スプレンディドは微塵も怯む様子はなく。

 
「私を口説き落としたいのかしら?それなら辞書辞典を全て学び尽くしてくることね」

 
むしろ耳まで紅く染まっていることに
気付かないソフィアがたまらなく愛しく見えたようで、

 
「はは、君も随分と言うじゃないか」

スプレンディドは、気づかないふりをしておいた。


 
 
 
 
全部分かっているんだよ?
君が本当は少しだけ、
永遠を信じたがっていることも。
 
 

そして 私を好いていてくれていることも。

 
 
 
「好きだ、ソフィア」

「―――、今日はエイプリルフールじゃないわ、真冬よ?」
 
 
「君と居ると、つい永遠を求めてしまう」
 
 
「……」
 
 
 
無口になったソフィアからは、
鼻をすする音が聞こえた。

 
「だが、私も永遠なんてないと思う。
限りがあるから、
だから一秒でも長く君と想い合いたい」
 
 
本当に好きなんだ、ソフィア

 
「なんで私がディドを好きなこと知ってるのよ……」

「君は隠し事が驚くほど下手だから。自惚れるまでもなく判ってしまったんだ」

「……完敗ね、」

 
 

絵に描いたような銀世界の真ん中、

雪が地にふわりと舞い落ちるように、
スプレンディドは優しく、
ふわりと最愛のヒトに口付けた。

 
 
 
 
 

 
願わくば、永遠の幸福を 君と共に


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カーネーション青―永遠の幸福―

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