長編

□memoria7
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「………。」
「き、恭弥?大丈夫?」
やはり記憶を無くしても群れが嫌いなのは
体が覚えているのだろう。
しかし、本人はいきなりすぎてとまどっているだろう。その証拠に体が震えていた。
「…ふ、ぅっ…」
よほどなのか、恭弥が声を押し殺しながら
涙を流した。

***雲雀視点
階段を下りたら、知らない人たちが
一斉に何か言っていて、そしたらいきなり、
自分でもよくわからないイラつきがこみ上がってきて。
なにかに押しつぶされそうな感じになり思わず泣いてしまった。僕、もう大人なのに…
なんか情けなくなってしまった。

「恭弥…もう大丈夫だから、ね?」
沢田はそういって、僕を抱きしめながら背中を撫でてくれた。
なんだろう、懐かしい、というかなんか
さっきまでのイラつきがなくなっていって
落ち着いていく。
「…沢田」
…少し思い出したような気がする。
まだ、はっきりではないが
僕は沢田といていつもすごく幸せでいたということを――
「…ありがとう」
「、うん」
沢田は笑顔で応えてくれた。

七話end
→あとがき
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