ほん
□大好きなあなたと一緒に
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「ひーなのっ」
そう言って雛乃に駆け寄り、抱き付いてくるのは佐田。
笑顔な佐田とは対照的に、怪訝そうな顔をする雛乃。
「雛乃…?」
抱き付くのをやめ、きょと、と小動物のように首を傾げる佐田。
「はい……?」
佐田に再度名前を呼ばれると、雛乃はいつもの端正な顔立ちに戻った。
「どうしたんだ?」
「いいえ、なにも」
雛乃はそう答える。
佐田に、自分の醜い部分を知られたくない。
知られたら嫌われるかもしれない、という考えからだった。
「ふーん、そっか」
そう言って、納得をする佐田。
そんな佐田の反応がなぜか物足りず、雛乃は佐田を壁に追い詰め、逃げ道をふさぐ。
「ひっ、雛乃……?」
突然の事に驚く佐田。
「佐田。僕はね、キミが思うような人間じゃない。今だって、このままキミを襲いたいな、なんて思っていますし、どんな声で啼くのだろう、とも考えます」
雛乃は互いの息を感じれるほどまで顔を近付けそう言った。
「それほどまでにキミを愛しているんです」
雛乃の突然の愛の告白に目を見開く佐田。
佐田は自分の耳を疑った。
愛している…? 雛乃が、おれを……?
そう思った瞬間、佐田は目の前にある雛乃の顔にキスをした。
「ばーか。おれだって、愛してるよ。……このまま、襲ってもらっても構わないくらいには、な(ボソッ」
もし嫌だったなら、まず抵抗するからな?なんて、付け足して、佐田は言った。
「おや、それはそうですか」
雛乃はそう言って、佐田に深いキスをする。
「んっ……、ふぅ…、…ひな、………のっ」
佐田が苦しげに、雛乃をトントンと軽く叩くと、雛乃は口を離した。
すると、佐田はずるずる、と体をへたりこませた。
「ふふ、腰、抜けちゃいましたか?」
そう言って、余裕そうに笑う雛乃。
「キスで腰を抜かすような佐田には、この先はまだ無理でしょう。もう少し佐田に耐性がつくまでゆっくりと、行為を重ねましょうか」
雛乃はそう言い、佐田の頭を優しく撫でる。
「ん。おれ…がんばる、な」
へにゃと笑う佐田がかわいくて、雛乃はぎゅっと抱き締めた。
これから、たっぷりと時間をかけ、行為をしていけばいい。
まだまだ、時間はたっぷりありますし、ね…。
おわり