ほん

□大好きなあなたと一緒に
1ページ/1ページ





「ひーなのっ」

そう言って雛乃に駆け寄り、抱き付いてくるのは佐田。
笑顔な佐田とは対照的に、怪訝そうな顔をする雛乃。

「雛乃…?」

抱き付くのをやめ、きょと、と小動物のように首を傾げる佐田。

「はい……?」

佐田に再度名前を呼ばれると、雛乃はいつもの端正な顔立ちに戻った。

「どうしたんだ?」

「いいえ、なにも」

雛乃はそう答える。
佐田に、自分の醜い部分を知られたくない。
知られたら嫌われるかもしれない、という考えからだった。

「ふーん、そっか」

そう言って、納得をする佐田。
そんな佐田の反応がなぜか物足りず、雛乃は佐田を壁に追い詰め、逃げ道をふさぐ。

「ひっ、雛乃……?」

突然の事に驚く佐田。

「佐田。僕はね、キミが思うような人間じゃない。今だって、このままキミを襲いたいな、なんて思っていますし、どんな声で啼くのだろう、とも考えます」

雛乃は互いの息を感じれるほどまで顔を近付けそう言った。

「それほどまでにキミを愛しているんです」

雛乃の突然の愛の告白に目を見開く佐田。
佐田は自分の耳を疑った。
愛している…? 雛乃が、おれを……?
そう思った瞬間、佐田は目の前にある雛乃の顔にキスをした。

「ばーか。おれだって、愛してるよ。……このまま、襲ってもらっても構わないくらいには、な(ボソッ」

もし嫌だったなら、まず抵抗するからな?なんて、付け足して、佐田は言った。

「おや、それはそうですか」

雛乃はそう言って、佐田に深いキスをする。

「んっ……、ふぅ…、…ひな、………のっ」

佐田が苦しげに、雛乃をトントンと軽く叩くと、雛乃は口を離した。
すると、佐田はずるずる、と体をへたりこませた。

「ふふ、腰、抜けちゃいましたか?」

そう言って、余裕そうに笑う雛乃。

「キスで腰を抜かすような佐田には、この先はまだ無理でしょう。もう少し佐田に耐性がつくまでゆっくりと、行為を重ねましょうか」

雛乃はそう言い、佐田の頭を優しく撫でる。

「ん。おれ…がんばる、な」

へにゃと笑う佐田がかわいくて、雛乃はぎゅっと抱き締めた。

これから、たっぷりと時間をかけ、行為をしていけばいい。
まだまだ、時間はたっぷりありますし、ね…。


おわり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ