ほん
□ずっと一緒
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ずっとそばにいたい。
それだけを望んでいる。
「太陽、どこにも行かないでくださいね」
「行かないよ。金輔は馬鹿だなあ」
そう言ってくすくすと笑う太陽はあまりにも儚げで、愛おしくて、たまらずぼくは抱きしめた。
「急にどうしたの?苦しいよ、金輔」
なんて太陽は言ってみせるけど、なんだか声色に元気がないような気がした。
でも、そんな様子の太陽になんて声をかけたらいいのか分からなくて、ぼくは
「どうもしてないですよ」
なんて、笑ってみせる。
ずっとそばにいたい。
叶うことのない望みだとはわかってる。
それは、ぼくだけじゃなくて太陽も同じ。
なのに、ぼくらは何も起こらず、このままずっと一緒にいれる、なんて言ってみせるんだ。
矛盾しているのはちゃんとわかってる。
それでも、約束をして互いを自分の元に留めておきたい。
「ねぇ、金輔?愛してるよ」
ほら、また太陽はぼくをその言葉で引き寄せて、縛り付ける。
ぼくから逃げるつもりはないんだけど、ね。
おわり