NARUTO

□鹿丸
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なんだか、アイツがいそうな気がして帰り道オレは真っ直ぐ家に向かっていた足をある場所へと変えて歩き出した













案の定、自分の勘が当たって嬉しいんだか嬉しくないんだか
風に吹かれながらアイツはいた














「よぉ」





そう声をかければ、誰が来たのかわかっていたように笑顔で振り向く







『久方ぶりじゃのぉ、シカマル』





紅緒の笑顔にしかめっ面で返すオレ






「なんでいんだよ?」




『シカマルに会えるとなんとなく思うての』





その言葉に盛大なため息をついたオレ






「お前もかよ......なんなんだ?オレらは双子なのか?」



頭を抱えて言えば



『ほほほ、随分と対照的な双子どすなぁ....』


適当に返してくる紅緒




「そーゆう問題かよ?」





つっこめばそれを無視して全く違う話を持ちかけてきた





『ところで、どうじゃ?そなたのチームメイトは』





「どうもこうも.....一族同士の仲だから逆に代わり映えが無さすぎてって感じだよ」





無視されたことに苛立ちながらも、返せばオレの顔がそんなに面白かったのか笑いだす紅緒




『そなたらの一族はどこまでも仲良しじゃのぉ』




そう言って笑う紅緒にオレは聞き返す






「お前の班はどうだったんだよ?」




『妾の班は個性が強すぎるよのぉ』





まぁ、ごもっともだろう。


なんせ天才とか言われルックスも良くてモテるサスケに

ドベのナルト

そこにサクラがはいってんだ、個性の塊だろ







けど、一番個性がありすぎんのは紅緒、お前だと思う





『まぁ、それでも.........悪くはない』





そう言って笑うアイツは、なんだか楽しそうなもんだから、つられてオレも笑っちまう








二人で笑いあったとき、オレは今更ながら気付いた







「お前....今日、顔隠してねぇーのな」



いつもは、大抵包帯でどこか、特に目を隠している
それが今日はなにもしていない、久しぶりに見る紅緒の完全な素顔にオレは胸の高鳴りを感じた


『..........ちと、気付くのが遅すぎやしないかの?』



「でもよ、ずっと横顔だったからわからねぇーだろ」




『ほほ、そなたはほんに男よのぉ.....一番目につくところにすら気づかぬとは.....』



「だァー!悪かったって!そんな目でオレを見るな!」




自分でも一番わかってるっつーの!




「てか、お前まさかそれでサバイバル講習したんじゃねぇーだろうな?」




『ふ、まさか!今しがた外したばかりじゃて』



呆れたように嘲笑うように言う彼女



「一応の確認だよ」




『素顔で過ごしたらどのようになるのかなど、妾が一番知っておる』



「顔半分隠れてんのに大名どもから指名が来てるくれぇーだからな」



『迷惑なものじゃ.....妾は置き人形などではないわ』




ムッとして愚痴を溢す彼女に苦笑する



「また呼び出されたのかよ?」



『ご丁寧に妾の庵まで迎えを寄越してきおったわ』



「どうせ別荘しか教えてねぇーんだろ」






『当たり前どす。そもそも、本家を教えたところで、妾等一族の敷地はあやつ等など入れぬ.....そなたの家の森と同じよの』




「あぁ、たしかにオレの奈良家の森と似てるが、同じじゃない。オレ等の森は奈良家のものしか受け入れない。お前の敷地はオレを受け入れた.....なんか、条件でもあんのか?」





そうオレが聞けば、一瞬間を置いて、彼女は目を伏せながら口を開いた




『当主が認めた者のみ.....この敷地に入ることが許される。ムリにこの敷地に入ろうものなら天罰が下るぞよ?』




「なんだよ?その天罰って?」



『さぁ?妾にもわからぬの.....』



「はぁ?」



『仕方なかろう、一度としてそんな愚か者は妾等の敷地に来なかったのじゃから.....』




そーゆうことかと、納得していれば




『まぁ、化け物の巣靴には誰も寄りとぉなかろぅて』





ケタケタと笑っている紅緒を見るが、なんだかいたたまれなくなって目をそらす



きっとオレが何かを言ったところで、なにも変わらない


それにこいつも、ただ聞いてくれるだけを望んでるはずだから......




それが、事実だろうと、事実じゃなかろうと否定したところで結局アイツを傷つけてしまうから.....





『ほほほ、すまぬの.......冗談じゃ』




それでも、コイツのこんな無理をした顔なんて見たくないのも事実だ






「わりィ......」




なにも言えなくて



今のオレにはまだ、女の気持ちなんてわかるわけねぇーから、なにが一番良いのかなんてわからねぇー


だから、その一言しか言えなくて......









『...........誰のせいでもない.....強いて言うなれば、
それはきっとこの運命の星の下に誤って生まれてきた妾のせいじゃろうて』










それすらも、オレは........否定することができなかった












それでも、お前はそれすらも汲み取ってくれるんだよな....








『まぁ、愚か者が本家に来ないのは静かで便利じゃからの』




そう言って笑うアイツに感謝だな




ほんと、情けねぇーな。オレ.......








『シカマル......妾は、そなたにイヤというほど救われておる......』





「......」




『そなたは充分、いい男じゃ』






そう言って微笑まれたら、







「褒めてねぇじゃねーかよ」





照れるだろ、フツーに....






ほんとにコイツには敵わねぇーなぁ.....













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