D.Gray-man
□第1夜
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場所は医務室
そこにはベッドに上体を起こして座る神田とそのベッドのはしに腰掛けるカナ
神田は任務帰りで怪我をしていた。と言っても殆どが塞がっていたが……心配した周りに本人は、ほっとけば治るの一点張りだったのだが、カナが来たことによりやむ無く医務室へ
看護婦たちによって包帯だらけにされ苛立っている様子だ
『そんなに怒らないで。体なら私が拭いてあげるから、それでしばらくは医務室にいてくれるかしら?』
任務帰りでお風呂に入りたくてしょうがないのだろう。体の汗や汚れでもイラついているのを感じカナはそういった
「もう治った」
『あら、それはウソ』
そう断言する神田に即座に答えるカナ、そしてお湯とタオルを用意しながらムスッとしている神田に言った
『任務はどうだったの?』
「……イノセンスはなかった」
『それは残念。お疲れさま』
「……」
カナの言葉に無言の神田。気にせずカナは神田の体を拭く
『向こうはお風呂とかなかったの?』
結構ドロドロなのですぐにお湯が濁ってしまった
新しいお湯に変えるためにベッドから離れながら聞いた
「いや、イノセンスがないことが分かって教団に戻るって時に襲撃を受けた」
『それは災難ね。向こうの病院で1泊お世話になればシャワーぐらい浴びれたでしょうに?』
そう言って神田を見ればジッと見つめられた
なんだろうと思いながらも神田の横に座って体を拭くことを再開する
「……」
『なーに?ほら、こんなに汚れてたのよ!』
そう言ってカナは神田に拭いた所とまだ拭いていない部分を指さす
神田は終始無言だ
それでもカナは笑顔で続ける
『早く帰ってきたい理由があるのねきっと』
そう言ったカナを咄嗟に神田は見た。
カナは上半身を拭き終え神田に服を着るように促した
これで少しはスッキリしたかしら?と聞くカナ。無言でその様子を見つめる神田
そしてカナは神田に一番言いたかったことを言う
『おかえりなさい』
「……あぁ」
カナの言葉に少し遅れてそう一言だけ、そっぽを向きながらそう一言だけ
それでも十分伝わるのだろうカナは大きく頷く、陽だまりのような笑顔で神田の心を今日も暖める
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