D.Gray-man

□第3夜
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「よぉ、ティッキー。Hola」




千年公とともにティキがやってきたのはおしゃれな三ツ星レストラン。

だが足を踏み入れた先に見えた光景に思わずティキは眉を寄せる。




「何してんのよ」

「見てわかんねーの?ベンキョォー」

「学校の宿題明日までなんですっテ♡」




先客はロード。
しかしその周りには明日までとは思えない宿題の山に囲まれていた。


「やべぇの♡手伝ってぇ」

「学ねぇんだよ。俺は」

「字くらいかけんだろ」

「今夜は徹夜でス♡」


千年公は必勝のハチマキを額に結びものすごい速さで書いていく。その後ろでレロも器用に口で鉛筆を咥えて書いている。


「ねぇ、ちょっとまさかオレ呼んだのって宿題のため?」


結局、食事を取りながらロードの宿題を手伝うハメに……




そんなティキの目の前に千年公がカードを差し出す




「一つ目のお仕事♡
ここへ私の使いとして行ってきてほしいんでス♡」


「遠っ」

「まぁそう言わず二♡

そして二つ目のお仕事♡
ここに記した人物を削除-デ
リート-してくださイ♡」



千年公の指が横に動き、カードを見たティキの表情が一瞬暗くなったのをロードは見逃さなかった


「多っ!了解ッス」



「特にこの子は要注意でス♡」

あるカードを指さしてティキに詰め寄る千年公
どこから持ってきたのか一枚の写真をティキに押し付けるように見せる

ティキはそんな千年公に焦りながら仰け反る

「!……お、べっぴんさん」

写真の中の女性はこちらには気づいていないようだ。視線を外したその写真に写る女性は大きなピアスが印象的な深い藍黒の髪に、珍しい紫色の瞳をしていた


「この子は削除するのは難しいのデ、ティキポンの力でとっ捕まえちゃってくださイ♡」

「カナのイノセンスはすぅ〜ごく厄介なんだよねぇ。ボク達ノアの力を持ってしても崩せない強固な防御力と、仮に傷を負わせてもすぐに回復する再生力が半端ねぇの♡」

「それニ!♡あの子はイノセンスを2っつも宿しているんでス!♡もう1つのイノセンスは装備型で攻撃力に特化していまス♡あれもとっても厄介でス…♡」

千年公とロードは交互に彼女の説明を始める


「え、なに?面識あんの?」

何でそんなに詳しいんだよ、特にロードなんて名前呼びじゃん。と突っ込むティキ


「ずっと前、千年公と出かけた時ばったり会って殺すつもりでやったんだけど、返り討ちにあっちゃったんだよねぇ〜!千年公!」

「あの時は危なかったですネェ♡♡」

「そんな強ぇの?!!なんで俺に持ってくんの?!」

ロードと千年公は同じ方向を遠く見つめながら感慨深く言った

ティキは驚きながら2人に突っ込む


「まぁまぁ♡ものは試し……♡期待していますヨ、ティキぽん♡」

「ふぁいと〜ティッキー」

まじかよ……と項垂れるティキ
ふと何かに気づく

「て、ことは……このカナって奴もクロスの関係者なわけ?」

ティキの問いに千年公の瞳が光った

「そうでス…と言っても14番目とは関係はないでしょうネ」

「なんでそう言い切れるんすか?」

断言する千年公にティキは運ばれてきた料理を頬張りながら聞く
すると、答えたのは千年公よりも先に宿題を放棄し始めたロードだった

「この子は教団の実験台だからだよ」

ロードの言葉に更に意味がわからないと首をかしげるティキ

そんなティキにロードは怪しく笑いながら続けた

「あの子は第2使徒-セカンドエクソシスト-の母体だったんだよ。10年も水槽の中に閉じ込められてたんだよ〜」


彼女の秘められた事実にただ驚愕するばかりだ。食事の手が止まる

「10年って…どーやって生きてたんだよ」


「呪術で仮死状態にされてたみたい〜」


「仮死状態っつっても10年間だろ?俺が言うのもあれだけど、人間としてどーなの?」


ティキはそう言ってドン引きしていた

その言葉にロードはニヤリと笑った


「やる方は人間でも、やられる方はそうじゃあないから何にも思わなかったんじゃない?」


ロードの言葉にティキは眉をひそめる


どういうことだと目が語る彼にロードは続けた


「あの子はこの百年続く聖戦を生きた唯一の使徒なんだ」


「おいおい、一体何歳なんだよ…」


「うーん、詳しいことはよく聞いてないからなあ〜。」


「て言うか、それなら尚更、崇拝されるべきなんじゃねえの?あちらさんは大好きだろそーゆうの」

なんで百年続く聖戦を生き抜いた英雄にそんな酷いことをするのか
ティキにはまだ理解できなかった

「正確には、死ねないんだよ。あの子、イノセンスのせいでね」

「あの子のファーストイノセンスは防御と再生能力♡あの子の身体の何処かにあるイノセンスを破壊しない限り死にません♡
けれど、若い頃はセカンドイノセンスの適合者ではなかったようでス♡防御も再生能力も当時は自分自身のみにしか使用できなかったとか…♡前線での使用方法はなかったわけでス♡中央庁はそんな使い道のないあの子の再生能力に目をつけ、第二使徒計画にこぎつけタ…♡」


ティキは開いた口をそのままに歪んだ笑顔を見せた

「あちらさんのやることはおっかないね〜」


容赦ねえや、と頭をかいた


「さしずめ、あの子はこちらで言うところの"イヴ"♡なんでス♡」

「千年公はカナの事がモロタイプみたい」

ロードの言葉に千年公はきゃー♡っと顔を赤らめて恥ずかしそうにしている
その一連の様子を冷めた目で見つめるティキ
さっきまでの雰囲気から一変しすぎだろと心の中で思うのだった


「なんにせヨ♡イノセンスをその身に2つも宿すこと自体、異例中の異例でス……ハートの可能性はとっても高いですネェ♡」

伯爵は恨めしそうにハートの存在を口にした。


「頼みましたヨ♡ティキぽん♡」


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