D.Gray-man
□第9夜
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鍛錬場
そこにはいつものごとく神田
そしてその隣には
「……………なんだよ」
「別に?たまには神田と座禅してみようかなって思って…」
「…………」
リナリーがいた
鍛錬場で座禅を組む神田の隣にリナリーも同じように胡坐をかいて座る
「…………ルベリエか。昔からお前、アイツが来るとオレの所に逃げてくるからな」
「煤cうっ…」
図星を刺され
リナリーは溜息をついた
「みんなに心配されるの嫌なんだもん…神田は小さい頃から一緒で、何も聞かないでくれるから気が楽なの」
「…カナは、またルベリエのところか…」
教団内において神田とカナを分かつ理由は割と多くある
他のエクソシストたち、科学班、食堂のコック、ファインダーとの交流でカナが神田の元を離れることは間々ある
その間、当たり前のごとく神田は1人だし、本人もそれでいいと思っている
しかし、神田には二人を分かつ理由に納得出来ないことが2つだけある
それはルベリエが教団にいる時
神田がまだ幼い頃の記憶
任務以外では片時も離れることのなかったカナが自分から唯一離れる瞬間
ある日、カナはとても悲しい顔をしたのを忘れられない
胸が締め付けられるような感覚も、言いようのない寂しさも、今も鮮明に覚えている
そしてもう1つは、クロス・マリアンだ
奴が教団に帰って来ると、カナを離さない
カナも妻よろしく亭主関白を貫いている
二人の関係は今となってはそういうものとして受け入れているが、昔はカナを取られたと感じて奴が嫌いだった。
今でも気にくわないが、元はといえばおこがましいのは自分だと気付いた
二人の関係は自分が生まれる前から在ったもので、自分がそこに割って入って行ったのだ。
なにより、カナが奴を求めている
カナが奴に信頼を寄せているのがわかったから、仕方がない
そして今回はそれが同時に来ている。神田は遠くからカナの身を案じることしかできない
すると、静かだった隣からため息が聞こえた
「……って…………やっぱり私逃げてるよね…」
「………」
どよ〜〜〜〜ん…とした空気が容赦なく神田にも圧し掛かった
「こんなんじゃダメだって思ってるのよ!強くならなきゃって…!」
神(集中できねぇぇぇぇ…ι)
「でもね!でもっ…ゔ〜〜〜〜〜っ!!」
そう言って頭を抱えるリナリーに神田は困ったように見つめ考える
「………オレはお前は強い女だと思うがな」
「!神田…」
「黙って座禅やれよ」
「…うん!」
再び修練場は静かになった
《ルルル♪》
「!」
《リナリー・リー。至急へブラスかの間へ。ルベリエ長官と室長がお呼びです》
「!」
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