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□お茶の嗜みについて
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〜竜崎編〜
どうしてでしょうね。あなたが真剣になればなる程に私の胸中が暖かくなる、同時に締め付けられるのは。
…―な言い回し、ですか?では、心拍数の上昇と。
あ、どこに行くんですか?話を聞きたいと言ったのはあなたでしょうに。
本当に困った人だ。ここまで私が困ったことはありませんよ。
戻ってきましたね。
座って下さい。立ったままではあなたの顔が半分も見えません。
お茶をどうぞ。
とても美味しいです。
私は満足しているんです。お分りですか?あなたがいる。あなたがソーサーに手を添えて香りを楽しんで…飲む仕草や嚥下する様、顎をそっと上げる姿はいつ見てもうっとりします。そう、カップに歯が当たる音も聞き逃しません。
月くん、眉をしかめるのも素敵です。
冷めてしまう前に。
食べないんですか?私の顔をじっと見て、顔がどうしました。
思い出しました。以前唇を拭って下さいましたね、また何かついているなら、あなたの指で取って頂けますか。
私の両手はケーキを食べるのに忙しい、…零れた欠片だって私のものです。食べます、下さい。甘い、甘いです。
月くん。
これ見よがしに溜め息をつかなくても、結構です。
愛しています。
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