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□組立玩具の奇妙なゲーム
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誰の目にも事実と認識されていても、それが真実とは限らない。

私がその趣旨を述べると、彼は少し間をおいて、笑った。彼は私が言葉遊びをしているのを悟ったようだ。
私は彼の笑顔が好きだった。滅多に見せることのないその横顔に、私は呆けた。

「退屈してるんだな」

そう言って彼は私の頬に唇を寄せる。
唇の柔らかさを感じるより、彼の仄かな体臭が私の鼻腔を擽る。

「そうでもありません」

退屈に慣れない、あなたよりは。

私の囁きを拾っても、彼は何も言わない。私の側を離れただけだ。どこへ行くのか尋ねるのは礼儀のようなもの。

「お前のいない場所」

至って真面目に答える彼は可愛らしい人だ。自分の幕引きは自分ですると、一度私に言った。手段はどうするのか、楽しみに思う。
その時まで、幾許かの時があるだろう。彼と時を重ねることを選んだ。いや、積み重ねる?このほうがしっくりくる。積み重ねて、崩して積み重ね…、次はどうしようか。崩すのなら積み重ねは非生産的活動である。いっそ、組立てて完成品になればいい。
私達は完成品には程遠い。やはり、時と場所を共有する積み重ねでしか、彼との接点はない。

「いってらっしゃい」


彼が帰る場所は、私のところしかないものを。



[END]20070505

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