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□恋人宣言
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私に昼夜の区別はなかった。
ただし、夜神月と繋がれるまでは。
日々同じ時間の起床と就寝に、昼夜の区別を知った。ただただ煩わしい。

新しいビルへ移って四日目の夜だった。
「おやすみ」
「おやすみなさい。月くん」
私と夜神月はシングルベッドを隙間なく並べて寝ていた。夜神月は静かに目を閉じる。気配で分かる。私はベッドの上に座り込む。
夜神月の幾つか提案を考えていた。

生活パターンを夜神月にあわせる事、就寝時くらいは『夜神月はキラ』と言う発言をしない事。
身がもたないと言う。笑止とは、このことか。

「…指から血が出ているぞ」
「私には気にせず、寝て下さいと言ったはずですが」
「爪を噛む音がしただけだ。そうしたら血が出てるんだ。気になるだろう」
私は指をくわえた。血の味がする。
夜神月は肘を付き、少し体を起こしたようだ。夜神月がベッドに入った後に会話するのは初めてだ。彼は寝付けない時も私へ話し掛けることはなかった。
「月くん」
私は彼を見た。
「今日、月くんが言った事について考えました。妥当でしょう」
「あぁそう」
言外に、当然だと伺わせる気概があった。
「それでこれからは、友達ではなく恋人だと思うことにします」
「…、なに?」
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