あの日の君は、
□高校入学
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話し込んでしまい、辺りはすっかり暗くなった。
「ハンバーガー美味かった。ありがとな」
「静雄くん、お腹が減ると動けなくなるんだね」
あの会話の中で大分仲が良くなったのだろう、いつの間にか名前で呼んでいる。
「…あ、私の家こっちだから」
少女は街灯がまばらにある、薄暗い道を指差す。
「…そうだったか?」
「あー…一人暮らし始めたからね」
「…何かあったら連絡しろよ」
「うん、ありがとね京平」
少女と別れ、一気に静かになった二人。
門田と静雄は会話を交えることなく、自分のペースで歩いている。
「…平和島静雄…つったな?」
唐突な質問だった。
前の方にいた静雄は足を止め、門田の方を向いた。
「…お互い頑張ろうじゃねぇか」
それが少女のことを言っているのは、静雄も理解できた。
「上等だ」
友として、恋敵として──。
♂♀
「あー、疲れた」
少女は部屋着に着替え、ベッドにダイブした。
「……あ、」
門田と静雄、二人からメールが来ている。
京平のは、と…
なになに……
From:京平
Sub:よぉ
本文
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一人で大丈夫か?
腹出して風邪引くなよ?
じゃあまた明日な
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お母さんみたいだよ。京平。
Date:4/2 19:28
Sub:私は子供か
本文
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大丈夫だって。
お腹出すのはないから。多分
ていうか京平、お母さんみたいだよ?
──────────
よし、送信完了。
静雄くんのは…と、
From:平和島 静雄
Sub:今日はありがとな
本文
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なんか、すげぇ楽しかった
つーか、俺と同じクラスだったんだな。分からなかった
これからよろしくな。
───────────
そうだったんだ。
教室で見かけなかったから分からなかったけど……
Date:4/2 19:31
Sub:そうだったのか
本文
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私も楽しかったよー。
私、静雄くんと同じクラスだったんだね。
こちらこそよろしくね
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送信完了。
お風呂に入って、適当にテレビ見て、何か軽いもの食べて…明日の準備したら寝ようかな。
やけに静かな部屋は、少女の孤独感を増させるのに充分だった。
♂♀