パラレル
□love'in you
1ページ/4ページ
男子高校生が、2人で街を歩いていたとしたら、一般的にはどう見られるのだろう。
仲の良い友達か、あるいは…
人によっては、カップルとでも映るのだろうか。
では、俺の場合はどうなるのだろう。
友達というラインは越えてしまっている。
…というか、俺が勝手に越えたのだが。
3日前、成り行きで告ってしまったが、コイツは何の反応も示してこない。
つまり、YESともNOとも言われていないということだ。
カップルならば、多少の差はあれ、想い合っているのだろうから、すなわちこれでもない。
では一体、この状態は何なのだ。
そんなことを悶々と考えながら、隣を歩いている相手−ロロノア・ゾロを見つめた。
今にもほどけそうなくらいに緩く結ばれたネクタイ。
左耳には三連ピアス。
そして極めつけは、緑色をした髪。
例えるなら…
そう。
ちょうどマリモのような頭をしている。
こんな目立つ格好をしているから、売られるケンカの数もハンパではない。
しかも、売られたケンカはすべて買うというのだから、大したものだ。
なんでも、竹刀の類を持たせれば負けることはない…らしい。
らしい、というのは、未だにゾロが竹刀を握っているところを見たことがないからだ。
入学当時は、剣道部からしつこくお呼びがかかったらしいが、コイツは頑なに無視を決め込んだ。
その代わりにお世話になっているのが生徒指導の先公で、これがまた剣道部の顧問だったのだから笑わせる。
下手をしたら、部活の奴らよりもよっぽど世話になっているのかもしれない。
まあ、俺としてはコイツが先公の世話になろうがなるまいが、さほど関係はない。
が。
先ほども言ったように、ゾロの格好はやたらと目立つ。
おかげで周りの視線が気になって仕方がない。
しかも、当の本人は全く気にしていない…というか、気づいていないのだから、困ったものだ。
そういえば、歩き出してから、一言も会話を交わしていない。
…というか、どこへ行くのだろう。
「行きたいところがあるから、ついて来てくれないか」
そう言われたから、今こうして一緒に歩いているのだ。
行き先くらい教えてくれたっていいだろう。
「なあ」
「あん?」
「どこ行くんだ?」
「…言わね」
むう…
このマリモ頭め。
一体いつまで俺を歩かせるんだ。
ていうか…
あれ??