パラレル

□もし麦わらの一味が『シンデレラ』をやったら
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昔々、あるところに、3人の姉妹がおりました。

…いえ、真ん中以外の2人は男だったのですが、父親の気まぐれで女として育てられていたのでした。

1番上は食べること(特に肉)が大好きで、2番目はお金を愛して止まず、3番目は国で一番の剣の使い手でした。

3人はそれなりに裕福な家に生まれたので、それぞれ自由な生活を送っていましたが、ある時、父親が死んでしまいました。

3人が生活していくだけの財産はありましたが、使用人を雇うだけのお金はとてもありません(次女談)。

そのため、3人の中から家事の一切を行う者を決めなければならなくなりました。

公正な(?)じゃんけん対決の結果…

3番目の娘・ゾロがその大役を担うことになったのです。

そういう訳で、今日もゾロは一人、床を磨いているのでした。

すると、2番目の娘・ナミがゾロを呼びました。

「ちょっとゾロ!!まだここ汚れてるじゃないの。ちゃんとやってちょうだい」

かわいそうなゾロは、すぐに声のした方へ向かう…

「ああ!?十分綺麗だろーが。そんなに気になるんなら、自分でやりやがれ!!」

…わけではありませんでした。

「あら、使用人の分際でご主人様に口答えしていいのかしら」

「誰が使用人だ!!給料なんて払ってねぇくせに、主人とか言ってんじゃねぇ!!」

「うるさいわね!!そもそもあんたがじゃんけんに負けたのが悪いんでしょ!!」

「てめぇは散々イカサマやって勝ったんだろーが!!」

「失礼ね!!イカサマなんてやってないわよ!!」

下2人の言い争いがヒートアップしてきたところで、1番上の娘であるルフィがのんびりした声で口を挟みました。

「なぁ、ゾロ〜。腹減ったぁ〜。飯にしようぜ〜」

が、そんなささやかなルフィの願いも虚しく

「「うるさい!!勝手に食べろ!!」」

と、切り捨てられてしまったのでした。


そんな日常が続いたある日のこと。

お城で王子様の結婚相手を決める盛大な舞踏会が開かれるというお触れが出されました。

見事王子のハートを射止めた者は、王子様と結婚できるというのです。

この知らせに、ナミは大興奮。

「絶っっっ対に王子様のハートを掴んでみせるわ!!」

「おう、がんばれ、ナミ」

自分は関係ない、とばかりに肉を頬張っていたルフィですが、ナミはその肉を取り上げました。

「あっ、何すんだ、ナミ!!肉返せ!!」

「何言ってんのよ。あんたも舞踏会に行くの」

「何でだよ。ナミが行くならそれでいいじゃねぇか」

「バカね。二人で行けば、選ばれる確率が増えるでしょ」

ナミの言うことも尤もですが、ルフィは嫌そうな顔で言いました。

「…でも俺、男だぜ?」

ルフィは、ドレスを着るのが嫌なのです。

とても重いし、動きにくいので、できるなら着たくはありません。

それを見たナミが、わざとらしい笑顔で言いました。

「行きたくないならいいのよ。私だけ美味しい〜お城のご飯食べてくるから」

すると

「行く!!!」

食べ物に釣られたルフィは簡単に折れたのでした。

その様子に、ナミは満足そうに頷き、今度はゾロに向かって言いました。

「ゾロ、あんたは留守番だからね」

「わぁってるよ。俺もてめぇらがいなくなって気が楽だ」

にやりと笑って言うゾロに

「そう。意見が合ってよかったわ」

と言って、ナミは上機嫌でドレスを選びに部屋へ向かったのでした
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