パラレル
□Promise
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「ーよし。終わった」
サンジはぐるりと周りを見回した。
整然と並んだテーブルと椅子、ぴかぴかに磨かれた床、花瓶には鮮やかな花ー
ここは、サンジの新しいレストランである。
長年修行してきたバラティエから独立し、明日めでたくオープンすることになっていた。
しかし、一番の客はもうサンジが決めてある。
その人物に連絡するべく、サンジは携帯を取り出した。
プルルル… プルルル…
すっかりかけ慣れた番号をダイヤルすると、サンジの耳に無機質なデジタル音が響く。
時計を見ると、もう夜の11時を回っている。
もう寝てしまっただろうか、とサンジが諦めて切ろうとした時
唐突に呼び出し音が切れた。
「……もしもし」
ひどく眠そうな声が、電話の向こうから聞こえる。
やっぱり寝ていたか、と思いつつ
寝ぼけているのもかわいいな、なんて思いながら、サンジは口を開いた。
「あ、もしもし、ゾロ。俺だ。こんな遅くに悪いな。
んで、突然なんだけどよ、今からちょっと出てこれるか?見せたいもんがあるんだ」
「…別に、構わねぇが」
「んじゃ、駅で待ってるぜ」
「ああ」
じゃあ後でな、と言って電話を切ると、サンジは急いで駅へと向かった。
***
駅に着くと、既にゾロが待っていた。
「ごめんな、ゾロ。こんな時間に呼び出しちまって」
「別に…大丈夫だ」
大丈夫、と言いつつ、眠そうなゾロに苦笑して、サンジはタクシーを呼んだ。
それに乗り込むと、ゾロがサンジに尋ねた。
「見せたいもんって何だよ」
「んー?そりゃあまあ、着いてからのお楽しみ?」
「……」
サンジのどことなく楽しそうな言い方に
ゾロはどう聞いても教えてくれなさそうだと思い、そのまま黙って目を閉じた。
しばらくすると、ゾロはサンジに身体を揺さぶられ、目的地に到着したことを知る。
タクシーから降りて目の前にあったのは…
「…レストラン??」
不思議そうな顔をしているゾロに、サンジは恭しくお辞儀をして。
「ようこそ、レストラン・オールブルーへ」
サンジはそう言うと、未だぽかんとしたままのゾロの手を取り、店の中へと入っていった。
中に入ると、真ん中のテーブルに、一人分の席が用意されていた。
サンジはそこまでゾロをエスコートして座らせると
少々お待ちください、と言って、奥に下がってしまった。