パラレル

□星に願いを
1ページ/3ページ



「今日の夜、空いてる?」

サンジにそう聞かれたのは、ゾロが帰る準備を終えて、鞄を持ち上げたときだった。

「今日の夜?」

「おう。空いてたら、飯でもどうかなーって」

「まあべつに…いいぜ」

特に断る理由もないので、ゾロが頷くと、サンジは嬉しそうに笑って。

「何食いてぇ?」

「何…って」

ゾロはいつもサンジのこの質問に困らされる。

ゾロとしては、空腹が満たされればそれで満足なのだ。

何を食べるか、ということに関して、そこまで興味はない。

けれど同時に、この質問に間違っても「何でもいい」
などと答えてはいけないことも、ゾロは知っている。

どうしたものか、とゾロが考えを巡らせていると、隣のサンジが苦笑しながら言った。

「お前、また何でもいいとか思ってるだろ」

「っ…」

図星だったゾロは、サンジを睨みつける。

が、その時、一つの料理がゾロの頭に思い浮かんだ。

これでサンジがいいというかは知らないが、言わないよりはましだろう。

「ああ、あれ、食いてぇ」

「ん?」

「おにぎり」

「…おにぎり?」

怪訝そうな顔で聞き返してくるサンジに、ゾロは頷く。

「おにぎりで、いいのか?」

「おう。でも、お前が作ったやつな」

「っ…!!」

意外な言葉が返ってきて、思わず顔を赤くしているサンジに
ゾロはしてやったり、とにやりと笑った。

「ったく…お前ってやつは…」

「ん?ダメか?」

「っ〜ダメなわけねぇだろが!
ああもう、クソ美味ぇおにぎり作ってやっから、覚悟しとけよ?」

そう言うとサンジは、ゾロが止めるのも聞かず、ゾロの手を引いて教室をあとにした。


***


「…ここ、どこだ」

「んー?俺の秘密基地♪」

「…あほ」

二人は今、サンジの作ったおにぎりを持って、ひたすら山道を歩いていた。

「どこ行くんだよ」

「なーいしょ」

「……」

これ以上聞いても無駄だと思ったゾロは
おとなしくサンジのあとをついて歩くことにした。

そうしてかれこれ30分ほど歩くと、ようやく頂上の展望台に辿り着いた。

「うし、着いた」

サンジは展望台のベンチに座り、ゾロを手招きする。

辺りにはもちろん誰もいなくて、明かりも月くらいしかなく、いつもよりもはるかに暗い。

そんな中、ゾロがサンジの隣に座ると、サンジは上空を指差した。

「ほら、見て、ゾロ」

サンジの指につられてゾロが空を見上げると、そこに広がっていたのは、満天の星空だった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ