パラレル

□甘い休日
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時計をちらり、と見やって、それから隣に座るゾロに視線をやって
サンジはため息をついた。

べつに何の日というわけではないのだけれど
二人でこうやってのんびりと過ごせるのは一ヶ月ぶりで。

お互いの休みがなかなか合わず、一緒に住んでいながら、二人の時間がとれずにいたのだ。

一ヶ月ぶりにやっと二人きりになれたのだから
サンジはもっと甘い一日になるものだと思っていたのだけれど
ゾロは思いの外あっさりしたもので。

普通に起きて、ご飯を食べて
やらなければいけないことがひと段落した今は、二人で黙ってテレビを眺めている。

それだけならまだしも、サンジが気にしているのは、ゾロの携帯だった。

先刻からずっとメールの着信が止まないのだ。

いったい誰からなのか、サンジは気になって仕方がないのだけれど
ゾロがそういうことに干渉されるのが嫌いなのを知っているから聞けるわけもなく
サンジは一人で悶々としていた。

実際問題、ゾロは老若男女を問わずにモテる。

しかもそれを本人が自覚していないからタチが悪い。

そんなわけで、やっとの思いで恋人になったサンジは日々苦労が絶えないのだった。

そうやってサンジがテレビと時計とゾロを順番に眺めていると
メールを返し終えたらしいゾロと目が合った。

「…何」

「…べつに」

「…」

ふい、と外方を向いたサンジを、ゾロはいきなり自分の方に抱き寄せた。

「っ、ゾ…?!」

そうしてそのまま乱暴に口づけられて、サンジはきょとんとなる。

「ゾロ…?どうした…?」

「べつに…」

サンジの肩を抱いたまま、外方を向いたゾロの耳は赤く。

それだけでサンジは、今までの憂鬱な気分などすべて吹き飛んでしまって。

ゾロの顔が見える位置まで移動すると、サンジはゾロの膝の上に乗って口づけた。

それはだんだん激しさを増し、気づけばサンジはゾロを押し倒していた。

「なあ…ゾロ」

「…ん」

「…好き」

「…今さら何言ってんだ」

「うん…でも好き」

ちゅ、ちゅ、と短いキスを交わしながらサンジがそう言うと、ゾロはふ、と笑って。

「当たり前だろ」

ゾロはそう言うと、サンジの頭を引き寄せてキスをした。

そうして二人は、久々の甘い休日を楽しんだのだった。


END

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