パラレル

□love'in you
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あれ??

そういえばこの道、さっきも通ったような…

「なあ、この道、さっきも通んなかったか?」

「そうだったか?気のせいじゃねぇか?」

ふむ。

ゾロが言うならそうなのかもしれない。

俺はこの辺りにはあまり来ないから、よくわからない。

しかし、一体どこまで行くのだろう。

学校を出てから、もう1時間近く歩き続けている。

10月の半ばともなると、日が落ちるのも早くなる。

辺りは薄暗くなり、車のライトが目立ってきた。

風も少し冷たい。

…と。

見覚えのあるビルが見えた。

「…おい」

「あ?」

「やっぱこの道、さっきも通ったぜ?」

「…そうか」

ゾロはそう言うと、今来た道を逆戻りし始めた。

俺は慌てて追いかけた

…が。

しばらくすると、また同じビルの前に出た。

「…もしかしてお前、迷ってんの?」

「…うるせぇ」

…迷ったのか。

「…で、どこに行きてぇんだ?」

「…言わねぇ」

や、言ってもらわないと、永遠に辿り着けない気がするんですが。

「言わねぇったって、道わかんねぇんだろ?」

「見えてはいるんだがな…」

ゾロが呟いた。

「見えてんのかよ。つーか、一体どこに行くわけ?」

ゾロは言うか言うまいか迷っているようだったが、やがて黙って指を指した。

その先にあったのは…

「…観覧車??」

遊園地でもないのに、なぜか街中に存在している。

そういえば、去年のクリスマスに周りのカップルが観覧車がどうとか言っていたような…

「何でまた…」

「…いいじゃねぇか」

そう言って、寒そうにポケットに手を突っ込んで再び歩き出したゾロを、俺は慌てて引き止めた。

「ちょっ…待てよ。観覧車だな?俺が連れてくから、ついて来い」

「でもてめぇ、行き方知らねぇじゃねぇか」

「そんなの、その辺の地図見りゃあ何とかなるだろ」
「しかし…」

「いいからついて来いっ」

半ば強引に歩き出すと、ゾロはおとなしく後ろからついて来た。

そして、10分後。

俺たちは、観覧車の前に立っていた。

「…着いたな」

「着いたな、じゃねぇよ!!さっきのとこからここまで、ずっと一本道だったじゃねぇか。
ったく、何をどうしたら迷っちまうんだよ?」

「知るか」

ゾロは、そんなことはどうでもいい、というように、入り口に向かって歩き出した。
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