パラレル
□お江戸土産 *
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「きゃあぁぁぁ!!!」
その悲鳴に、ゾロとサンジは素早く反応した。
「おい、今の悲鳴…」
「なんかヤバそうな予感がする」
「とりあえず走るぞ」
声のした方へ走っていくと、人だかりが見えた。
その人を掻き分け、中を覗くとそこには、2人の娘が5、6人の男に囲まれているのが分かった。
「た…助け……」
一人は泣きそうな顔で助けを求めている。
もう一人は、後ろ手に腕を掴まれてはいるが、キッと周りの男たちを睨みつけていた。
「うひょ!べっぴんさんだぜ」
状況に全く合っていないサンジの台詞に、ゾロは呆れ顔。
「んなこと言ってる場合かよ…お前、掴まれてる方の女、いけるか」
「楽勝♪」
サンジは、にっと笑って舌なめずりをした。
「ちったぁやりがいのある奴らであることを願うぜ…」
そうして、2人は男たちに声をかけた。
「おい」
「ああん?」
一人の男が不機嫌そうにゾロたちの方を見た。
「女の子をいじめるのは、ちょっと感心できないねぇ、お兄さん方?」
挑発したようなサンジの口調に、男たちはブチ切れた。
「んだと、てめぇ」
「やんのか、ゴルァ」
その言葉を待ってましたとばかりに、ゾロは1本の刀を抜いた。
サンジも戦闘体勢をとる。
男たちも身構えた。
「やっちまえ!!」
娘たちを掴んでいない2人の男が、それぞれサンジとゾロに向かってくる。
次の瞬間。
一陣の風が吹き、2人の男は倒れていた。
「くそっ」
娘を捕まえている2人の男は、刀を娘に突き付けながら、じりじりと後ずさる。
そんなことはお構いなしに、ゾロとサンジは彼らを追い詰めていく。
1人が、震える唇を開いた。
「こ、これ以上近づいたら、こ、殺すぞ」
「ほう?」
ゾロが一気に間合いを詰め、男の顎を持ち上げる。
「てめぇに俺が殺せるとは思えねぇがな…」
そう言いながら、ゾロは男の首に刀を添わせる。
「ひっ…」
ゾロがにやりと笑った瞬間。
その男は、うっという鈍い声を上げて、その場に崩れ落ちた。
突然支えを失った娘は、ゾロの胸に倒れ込む。
「おい、大丈夫か?」
「え、ええ。ありがとう…」
そして、足元で倒れている男に目をやった。
「あの、この人は…」
「ああ。峰打ちだからな。気ィ失ってるだけだ。そのうち気がつくだろ」
娘は、そう、と呟いたあと、はっと気がついたように言った。
「ナミ…おナミさんは?!」
ゾロは一瞬意味がわからなかったが、やがてもう一人の娘のことだと気がついた。
「そいつなら、向こうの金髪野郎がどうにかするさ」