パラレル

□もし麦わらの一味が『シンデレラ』をやったら
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さて、舞踏会当日。

「じゃ、行って来るわ」

「ああ」

ドレスアップしたナミとドレスアップさせられたルフィが馬車に乗ってお城へと出発し、久しぶりに一人ののんびりとした時間を手に入れたゾロは、
ナミに言い付けられた仕事をするわけもなく、酒でも飲むかとキッチンへ向かいました。

すると、キッチンから、誰かがいる気配がしました。

でも、ナミもルフィもたった今出かけたばかりだし、今この家には、ゾロのほかには誰もいないはずなのです。

「…誰だ!!」

ゾロが腰の刀を抜き、一気にキッチンの扉を開くとそこには…

黒髪の長身の女性。

それに、テーブルの下に長い鼻の少年と、シカ…のような生物がいました。

女性の方は、突然入ってきたゾロに、特に驚いた様子もなく、ゾロに微笑んでいます。

一方、テーブルの下の2人(匹?)は、あまりのゾロの迫力にガタガタ震えていました。

「…もう一度聞く。てめぇらは誰だ」

すると、女性の方が口を開きました。

「勝手にお邪魔してごめんなさい。私はニコ・ロビン。魔法使いよ。それからこっちの…」

「いや、ちょっと待て」

ゾロが途中で口を挟みました。

「今てめぇ、何て言った?」

「お邪魔してごめんなさい?」

「いや、もっとあと…名前のあとだ」

「私は魔法使い」

「そう、そこだ」

ゾロは訝しげにロビンに言いました。

「てめぇ、それ本気で言ってんのか?」

「本気も何も、本当のことだもの」

しれっと言い返したロビンに、ゾロは呆れたように言いました。

「あのなぁ、魔法使いなんて、存在するわけねぇだろ?」

ゾロの言葉に、ロビンはにっこり微笑んで言いました。

「なら、見せてあげるわ」

ロビンは胸の前で手をクロスさせると、何事か呟きました。

すると…

「うぉっ?!何だこれ!!!」

突然、ゾロの周りに2本の腕が現れ、ゾロの右手の刀を掴み、あっという間に鞘の中へ収めてしまいました。

「……」

あまりの出来事に、ゾロは状況が飲み込めず、ぽかんとしています。

そんなゾロを見て、ロビンは楽しそうな表情で言いました。

「ごめんなさい。少し驚かせすぎたかしら」

「…お前、一体……?」

「言ったでしょう?私は魔法使いだって」

「信じらんねぇ…」

「信じる信じないはあなたの自由だけど、」

ロビンは続けます。

「そろそろ準備しないと間に合わないわ」

その言葉に、ゾロは不思議そうな顔をしました。

「準備って、何の」

ロビンはにっこりして言いました。

「舞踏会のよ」
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