短編・中編

□完璧彼氏対決
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ある日のこと、



私は幼馴染みに体育館裏に呼び出された。



今をきらめくイケメンモデル…なんて言われている黄瀬涼太。


それが私の幼馴染み。



だけど実際、私が知る黄瀬涼太は泣き虫のヘタレワンコでしかない。



中学に上がってから何故か妙に避けられるようになって…最近はロクに話しもしてなかったのに…



どうしていきなり…




私は頭に疑問を抱きながら体育館裏へと向かった。



――――――――


――――――


黄「あ!名前っち!来てくれたんスね!」



『……来たけど…何?黄瀬くん』



黄「っ!‥ひどいなぁ〜、昔みたいに下の名前で呼んでほしいっス!」



『そっちが一方的に私のこと避けてたくせに、そういうこと言う?』



黄「う"…っ、それは…;ごめんなさいっス…」



『はぁ…、で?用件は?』



黄「名前っち…、もっと話を聞く感じにしてほしいっス…」



『は?ちゃんと聞いてるじゃない。なにか問題でも?』



黄「そういうんじゃなくて!;その‥もっとこう‥甘い感じの‥雰囲気を…」




『あの‥言葉の意味がよくわからないのだけれど…用事がないなら帰るよ?』




黄「あっ!;ああ、待って!名前っち!!;言う!言うから!!」




『…………。』


なら早く言えよ。というオーラを放ちながら私は話に耳を傾けた。















黄「俺、名前っちのことが好きっス。」








『…えぇ…ああ、そう…』



黄「反応薄っ!!;俺、結構勇気出したのに〜;」



『え?…だって、昔からアンタ私にベッタリで“好き、好き”煩かったじゃない。もう聞きあきたわ。』



黄「まぁ、確かにそうだけど…あの時とはワケが違うんス!」



『どこがどう違うって?』



黄「俺は…名前っちを一人の女の子として好きなんっス!//」



『嘘…』



黄「嘘じゃないっス!中学に上がったころから妙に意識しちゃって…名前っちを見るたびにすごく緊張して…結果的に、避けてしまったくらいっスから!」



『……………まじで?』



黄「大マジっス。」



『そっか…気持ちは嬉しいけどゴメンね。』



黄「早っ!!;即答っスか!?」



『だって…ヘタレワンコな涼太を今さら恋愛対象として見ろって言われても…』



黄「うぅ…;ひどいっス…;女の子に振られたことがなく、やれば一通りなんでも出来ちゃう完璧なこの俺を…振るんスか?」



『自分で言うか。…っていうか、そんなにモテるんなら女の子とか選び放題じゃん。』



黄「俺は名前っちがいいんっスー!名前っちー好きっスー大好きっスー…ねぇ、俺と付き合お?」



『自分を可愛くみせようったってムダよ涼太。私には耐性がついてるんだから』



黄「ぐぐ…っ;これでもなびかないとは…;(ハッ!)も、もしかして…名前っちには好きな人がいたり…?」



『え?あー……うん、そうだね…いるよ、好きな人。』



黄「えぇっ!?まじっスか!?;誰ッスか!?ちょっと倒して来るっス!!」



『なに物騒なこと言ってんの…;…、んー…私の好きな人は……えーと…』



黄「誰、誰!?まぁ、誰が相手でも俺は勝つっスけど!」


なんかやる気満々になっている涼太。


そうだなぁ…ここは涼太が絶対にかなわない人の名前を…


えっと…


あ、




『………………赤司くん。』



黄「赤司くんっスね!…………って、へ?赤司って…………赤司っち!?;」



『そうそう。』



黄「赤…司っち…よりによって…」



『……というわけだから、私のことなんて早く忘れて幸せになりなよ。』


黄「いやっス!!」


『………は?』



黄「…俺、赤司っちを倒してくるっス。」



『……バカなの?死ぬの?』



黄「死ぬようなことはしないっス!さあ、名前っち!赤司っちのところへ行くっスよ!」



グイッ



『いや、まじ勘弁して下さい。あ…ちょっと…引っ張るな、バカ涼太!;』



私は涼太に手を引かれ赤司くんの元へ連れていかれた。




―――――――――



――――――



黄「あ、赤司っち!!勝負っス」



赤「やあ、名前。それに涼太も…どうしたんだい?」



黄「いや、だから…俺と勝負してほしいんス!」



赤「この僕に勝負事を持ちかけてくるなんて…さっきは空耳だと思って聞き流してあげたんだけどな。」



黄「空耳じゃないっス!俺と赤司っち、どっちが名前っちの彼氏に相応しいか対決したいんス!」



赤「…………彼氏?」



『…………はぁ……』




黄「名付けて…“完璧彼氏対決”!!勝ったほうが名前っちを彼氏にできるっス!」



『は?私、そんなこと一言も…』



赤「そうか…。勝ったほうが名前を好きにできるんだね。…いいよ、相手をしてあげよう。」



ちょっ…;こっちはこっちで涼太の言葉が脳内変換されてるし…



黄「やった!じゃあ…ルールを決めたっス!えっと…一種目ごとに勝ったほうに100ポイントがもらえることにして…最終的にポイントが多いほうが勝ち、ということで!!」



赤「ふむ…わかったよ。」



『てか、アンタが仕切るんだ…』



黄「では、第一回戦!…彼氏と言えばラブラブ!ラブラブと言えば甘い言葉!…つまり、どちらが名前っちを言葉でメロメロにできるか勝負っス!」



『うわ…甘い言葉とか…赤司くんにそういうことさせちゃう?』



赤「甘い言葉か…よくわからないな…涼太、ちょっと先にやってみせて。」



黄「もちろんっス!判定は名前っちに任せるからね!よく聞いてて!!」



『…ああ…うん…』


私の返事を聞いて、涼太は大きく息を吸い込んだ。












黄「名前っち…好きっス!世界中の誰よりも名前っちを愛してるっス。…俺以外に名前っちの彼氏がつとまるヤツなんて居ない…。だって俺は名前っちのことならなんでも分かってるんスから!体のホクロの位置まですべて把握してるし!!名前っちのファーストキスも俺が貰ったんスから!その責任はちゃんととるっス!だから…もう彼氏とかすっ飛ばして………結婚しよ?」



『……………。』




赤「………なるほど。そういうことか。じゃあ次は僕の番だね。名前、」



『え?…わ!?』



グイッ…



赤司くんにいきなり手を引かれ、赤司くんの顔が私の耳に触れた。


そして…驚いて固まっている私の耳元で、赤司くんは囁いた。















赤「名前、愛してる。結婚しよう。」



『!?』



黄「なっ―――!?;あ、赤司っち!名前っちに何してるんスか!?」



赤「あれ?いけなかったかい?一応、涼太を参考にしたんだけどな。」



黄「距離がいちいち近いんスよ…;」


赤「??……じゃあ、名前‥判定は?」



『赤司くんですね。』



黄「ええっ!?;なんでっスか!!あれの何が不満って言うんスか!?」



『アンタの告白は重い。あとなんかちょっとイラっときた。』



黄「え〜!;そんなぁ……;」



『フンッ、シンプルこそ真意なのだよ。』



赤「名前、それ‥もしかして真太郎の真似?」



『うん。昨日の練習中に何度か呟いてた。』



黄「……み、緑間っち…」





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