短編・中編
□男前少女2
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最近、真ちゃんの様子がおかしい。
話し掛けても上の空、一緒に帰ってるときにも、いきなり挙動不審になったりと…
本当にらしくない。
だから今日から俺は、その原因を探るために真ちゃんを観察することにした。
―――――――――――
登校中…
前方に目立つ緑頭を発見。
高「真ちゃーんっ!」
俺はすかさず声をかける。
緑「……………。」
…だが、真ちゃんは俺に軽く視線を移しただけだった。
高「真ちゃんマジどうした?いつもは俺が呼んだら“朝からうるさいのだよ!叫ぶな高尾!!”って、俺よりも大きな声で返してくんじゃん」
緑「俺は叫ばないのだよ」
そう言って歩く足を速める真ちゃん。
やっぱりおかしい。
高「真ちゃん、なんか悩みあんの?俺が相談にのるぜ?」
緑「悩みなんて……ないのだよ。」
………ん?
今、一瞬どもった?
高「真ちゃん、正直に言ってみ?あるんだろ?悩み」
緑「だから……、(ハッ!)高尾!早く行くのだよ!!」
グイッ
高「は!?つかいきなり何!?真ちゃん?真ちゃぁぁんっ!?」
俺はいきなり慌て出した真ちゃんに手を引かれて、そのまま全速力で学校へと向かった。
――――――――
―――――
高「ゼェ…ゼェ…真ちゃ…マジでなんなの…いきなり…」
緑「べ、べつに…おは朝の御告げなのだよ…」
高「激しくワケわかんねーんだけど…何から逃げたんだ?」
緑「だから…俺は何からも逃げてないのだよ。人事を尽くしているからな。」
高「いやだからなんなのそれ…;」
―――――――――
その日…
俺は結局真ちゃんのおかしい原因が見つけられないまま…帰宅時間になっていた。
高「真ちゃんお疲れ〜!帰ろうぜ!」
緑「……ああ。ちょっと待つのだよ…」
―――――――
真ちゃんと帰路を歩く。
高「なぁ、真ちゃん…ちょっと公園寄ってかね?」
緑「いやなのだよ」
高「んなこと言わずに〜!ほら、飲み物奢るか…ら…、っ!!……ブフォ!ww…真ちゃん!」
緑「…な、なんなのだよ高尾!」
高「ああああれ見て真ちゃん!!w俺、真ちゃん以外に夏におしるこ飲んでる人初めて見た…!!wwつか…よく見たら超美人じゃん!!ww」
緑「フンッ…バカめ…、俺が飲んでいるのはいつも“つめた〜い”なのだよ。だいたい、人を指差すなど…、……なっ!!」
高「…………真ちゃん?」
緑「い、行くのだよ高尾!!」
高「またかよ!?ちょ…真ちゃん!?」
俺はまたしても真ちゃんに手を引かれて走り出した。
―――――――
高「はぁ…はぁ…真ちゃん…練習後の全力ダッシュは…さすがに‥キツ…;」
緑「……今見たことは忘れろ」
高「…………は?」
緑「お前は何も見ていないのだよ」
高「忘れろって…もしかして“しるこの君”のこと?」
緑「なんなのだよそれは‥!」
高「だって名前しんねーし…夏にしるこ飲んでるとか、真ちゃん並みの衝撃だったし?清楚な感じだったから…あだ名付けるんなら“しるこちゃん”より“しるこの君”のが似合ってんだろ?」
緑「…意味がわからないのだよ。」
高「いいネーミングセンスだと思うんだけどなー。…あっ、てかさー、なんで真ちゃんあんなに必死になっちゃって…。(ハッ!)……ハッハーン…?」
緑「…な、なんなのだよ…その笑みは…」
高「べっつにー?…そういやさ、明日土曜じゃん?練習昼までだし…またあの公園行こーぜ!しるこの君とまた会えっかもだし!真ちゃんも話してみてーんだろ?」
緑「なっ…、んだと…?別に俺は…」
高「そんな意地張んなって〜、じゃ!また明日な!!」
緑「あ、おいっ高尾!!」
俺は戸惑う真ちゃんと別れて家へと走った。
まさかあの真ちゃんが…ねぇ…
…うん。ここは相棒である俺が一肌脱いでやんないといけねーかな?
なんたって…うちのエース様は堅物で超鈍感だから!
……なーんてな♪
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