短編・中編

□もしも、長編うたプリ主人公が先輩だったら。
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―――――――――


ある日の昼下がり。





早乙女学園を卒業し、新人アイドルとして駆け出していた6人と、


社長自らスカウトしてきたと言う新人が一人。




彼らが所属する事務所の一室へと集められていた。









音「急に収集かけられたけど…どうしたんだろうね?」



神「……もしかしてこのメンバーで仕事、だったりして。」



一「社長の考えることはいつも唐突ですから…可笑しなことに巻き込まれなければいいのですが。」



翔「……つーかさ…、さっきから気になってたんだけど…コイツ誰だ?」



セ「……?…ワタシ、ですか?」



聖「…確かに、初めて見る顔だな。…俺は聖川真斗だ。お前の名を教えてはくれないか?」



セ「………ああ、自己紹介がまだでしたね。…ワタシは愛島セシル。サオトメのスカウトで来ました。」



那「スカウトですか!すごいです〜っ!僕は四ノ宮那月です!よろしくお願いしますね〜!」



――――――――



――――――





この調子で、新たに入って来た一人と、六人の自己紹介が、互いに終わった頃…






パンッ!パァンッ!!





「「「「っっ!!!???」」」」





盛大に何かが弾けるような音と部屋内を包む煙…、煙幕と共に…



この7人を呼び出した張本人である社長…―――



シャイニング早乙女が姿を現した。




早「ハッハッハ〜!Youたちご機嫌いかがデスカ〜!!」




翔「ゲホッ…!ご機嫌もなにも…こんな部屋の中で煙幕使うか!?フツー!?;」




一「………翔、諦めなさい。早乙女さんに“普通”を求める方が間違っています。」




聖「……それにしても…よくこれだけの煙で…火災報知器などに引っ掛からないものだな…」




セ「………これが…ジャパニーズ、ニンジャ…?」



那「へえぇ…社長さんはニンジャさんだったんですか〜!」




早「残念!!ミーは何者でもありまセーン!!」



神「……確かに、人間じゃないという噂が流れるくらいだしね。何者か、なんて…今さら聞いたところで分かるものじゃないと思うけど。…でも、実際はどうなのかな?」


音「人間…?それとも…」


























早「…………………さて!Youたちに集まってもらったのは他でもありまセーン!」



音「強引に本題に入った!;面倒くさくなったの!?;」



早「Youたちがデビューしてから早数ヵ月!そろそろYouたちには次のステップに進んでもらいマース!」



翔「さりげなく無視!!;………ん?次のステップ…?」





次のステップ、


という単語に首を傾げた7人に社長がホワイトボードを使って説明する。










マスターコース…



それぞれ、担当の先輩と共同生活…



先輩と社長に認めてもらわなくてはクビ…







厳しいことのようだが、アイドルとして次のステップに進むためには必ず通らなくてはならない通。



話を聞く中で、皆それぞれ思うところがあったのだろう。



…だが、一人一人表情は違えど、全員の目に強い光が灯っているのが見てとれた。



そんな新人7人を満足そうに見渡す社長。




そんな満足そうな社長がまた口を開いた。




早「今日はそのYouたちの先輩を連れて来マシタ〜!」




そう言った社長が指を鳴らす。






すると…――――







パンッ!パァンッ!





音「っ!?………またっ!?」




またも盛大な音が立つ。




しかし今度は、煙は上がらず、何かを区切るように吊るされていた白い大きな布がバサリと落ち…




布の向こうにスクリーン。




身構えた7人が「え、」と固まる中、音楽と共に映像が流れ出した。







―――〜〜〜〜♪




〜〜〜〜〜♪








翔「………これが…」



音「俺たちの…せん、ぱい…」



セ「……エクセレント…」




皆が皆、これから先輩となる4人の歌と踊りの迫力に圧巻していると…、








パァンっ!!




一「なっ…!?」




……と、スクリーンが弾けて…



先程までスクリーンに映っていた4人……、その4人が現れた。




聖「……本物、か?」




いつになくポカンとした7人の顔を見て、親指を立てる社長。



本日二度目の満足そうな顔を見せると、「後は任せマシタ〜」と言って窓から飛び降りて行った。



安定の放棄である。




…というか、ここはビルの……なかなか高い位置にある部屋なのだが、あえて窓から出ていく社長には誰もつっこまない。



慣れとは恐いものである。




寿「…え〜っと、シャイニーさんから説明があった通り、僕らが君たちの先輩でーすっ☆‥じゃあまず自己紹介からしよっか!」




なんとなく静かになった雰囲気の中、一際明るい声が部屋に響いた。



寿「僕ちんの名前は寿嶺二!担当する後輩ちゃんは……一十木音也くん、と」


音「は、はい!」



寿「一ノ瀬トキヤくん!」



一「はい。」



寿「ふむふむ…」



返事をした二人をジッと凝視する嶺二。






寿「おとやんと、トッキーだね!よろしくマッチョッチョ☆」




音「…!!」



一「…………っな!?」




パアッと華やぐ音也に対し、付けられたアダ名に絶句するトキヤ。





そんな二人を横目に、嶺二は隣に立つ人物に自己紹介を促した。









藍「………………美風藍。…不本意だけど、担当する後輩は四ノ宮那月と来栖翔。」



那「はいっ!僕が四ノ宮那月です!よろしくお願いしますね〜藍ちゃん!」



翔「おっ!俺が来栖翔!好きな食べ物は――」



藍「……君たちのデータはすでにあるからいいよ。…それと、ボクは別に君たちとよろしくするつもりはないから。」



翔「なっ!?……お前なぁっ!!」




寿「まあまあ、抑えて抑えて!アイアイはツンデレさんなんだよ〜っ」



藍「はあ?」





寿「お次はランラン!!自己紹介行ってみよう!!」



蘭「ハッ。‥っんで俺がんなことしなきゃなんねーんだ。くだらねぇ。」



寿「もうっ!そんなこと言わない!社長命令は絶対、だよ?」























蘭「………………チッ、黒崎蘭丸。担当なんか知るか。」



寿「…え、えーとっ、ランランの担当は聖川真斗くんと神宮寺レンくんだよっ!どの子かなっ?」



聖「は、はい…。」



神「へぇ…、またクセのありそうな先輩だね。」




寿「ほら!ランラン!可愛い後輩なんだから!優しくしなきゃ!」



蘭「…………うぜぇ。」



寿「もー!じゃあ、ラストはミューちゃん!」




カ「……………カミュだ。担当は愛島セシル。…社長命令でなければこんなところには来ていない。俺もよろしくするつもりはないな。」



セ「はい、ワタシが愛島セシルです。安心してください、カミュ。ワタシもアナタとよろしくするつもりはありません。…ワタシにセンパイなんて、必要ない。」



カ「フン、愚民めが…。」




寿「う、うわぁー…。;……もうっ!ツンデレさんが多くて嶺二困っちゃう…!」





シーン…





寿「…………あ、あれぇ?;」




部屋中に重苦しい空気が漂う。







………そんな時、









ガチャッ…











『ごめんごめーん、遅れたー』




突然、静まる部屋に全く緊張感のない声が響いた。



全員の視線が扉の方に向く。









そこには、瓶底眼鏡に緩めのミツアミ、そしてやけにラフな服装の女性が立っていた。




一言で言えば…地味。




そんな印象を受ける女性に、後輩たちは「スタッフか?」と首を傾げた。




そんな中。






藍「…っ、名前!!」




藍が女性に駆け寄った。



女性に向かう藍の表情は、年相応で…少し目が輝いているようにも見える。



『お、藍ちゃん久しぶりだねー。…うん、安定の可愛さだ。』




女性が少し背伸びをして自分より高い位置の頭を撫でる。




すると、藍は嬉しそうに頬を綻ばせてふにゃりと笑った。





………お前、誰だ。




さっき藍に散々冷たくされた翔の心の声がみんなにも聞こえた気がした。






寿「あだ名〜っ!!愛しのマイガールぅぅうっ!!」


ガバッ!



『うわっ!?レイちゃん…相変わらずだね…』



寿「もうすっごく久しぶり!会いたかったよ〜っ!」



はしゃぎまくる嶺二。



その姿をトキヤがドン引きした目で見ていた。






蘭「嶺二お前、名前から離れろ。……名前、俺は聞いてねぇぞ。なんでテメェがここにいんだよ。」



カ「…相変わらずセンスの欠片もない格好だな。少しはマシにならないのか」



口調こそ辛辣な二人。…だが、さっきと比べ、声のトーンや眼差しは大分優しいものになっていた。



『ん〜、実はさっき社長からメールが届いてねー、前途多難な君たちのサポートに回れって。…本当、社長は人使い荒いよねー。……っていうかカミュ、私の真面目っ子スタイルにいちゃもんつける気?』



カ「フンッ、そんな格好でよく警備員に止められないな。」



『ああ、平気平気。警備員さんはすでに懐柔…ゲフン、顔見知りだから。』




ドヤ顔でそう言いきった女性を、何者なんだろうと見つめる後輩組。



そんな視線に気づいてか、女性はクルリと後輩組に体を向け…一歩踏み出した。





『あ、…というわけで…マスターコースのサポート役となりましたー。名字名前でーす。よろしくね。』




ヘラリと笑った名前に後輩組は体を固まらせる。












――――名字名前。




それは、誰もが一度は聞いたことのある名前だった。




国民的アイドル、


天女、女神、


千年に一人の逸材…等。




今現在も世間を騒がしている有名なアイドルである。






そんな人が…今、目の前に。


こんな、思わず‥「スタッフですか?」と聞いてしまうような…地味な女性が…←(失礼)




国民的、…アイドル?























「「「ええええええっ!!!?;」」」





――…7人の叫びがハモって響いた瞬間だった。










(『おおぉ…?若いねぇ…』)


(蘭「…名前‥ババアみてぇだぞ?」)



(『失礼な!私はまだまだピチピチだよ!』)



(藍「名前…発言がレイジみたい…」)



(『あ、それはやだ。』)



(カ「おい、名字。そのままでは菌が移る。もっと離れろ。」)



(『寿菌がね。』)



(寿「ちょっ!?;二人ともヒドイ!!?;」)




――――――――――



ヒロインが少ししかでないという\(^o^)/←


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