短編・中編

□私の過保護なお兄ちゃん
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私には、お兄ちゃんが3人います。



その中でも、三番目のお兄ちゃんは、私と双子です。


…だからなのか、お兄ちゃんは小さいころからやたら私に構ってきました。



物心がついた頃に気付いたのですが、これは世に聞く“過保護”と言うやつらしいです。



しかし、それに気付いたからと言って何かするワケでもなく。


私もお兄ちゃんも、何だかんだでスクスク成長していき…、



ついに私は、お兄ちゃんの過保護を鬱陶しく感じるようになりました。



避けようとしても、そんなことは関係無いとばかりに家の中はおろか外へ行くときまで、当たり前のようについてくるお兄ちゃん。



思春期に突入した私は、それが嫌で嫌で仕方ありませんでした。







……でも、そんなある日。




お兄ちゃんは、一番上のお兄ちゃんの指示で、東京の学校へ行くことになったのです!



しかもそこは全寮制らしく、暫くは家に帰って来ることはない。



お兄ちゃんは、一番上のお兄ちゃんの言うことは断れないのか、渋々そこへ行く事になりました。




………と、言うことは…







私は晴れて、自由の身…!!





私は、お兄ちゃんが去ってから…早速、やりたい事の為に動き始めました。





………私は、音楽の勉強がしたい。




―――私がそう思うようになったのは、私のお母さんがキッカケでした。



私のお母さんは、私とお兄ちゃんを産んですぐに亡くなってしまったらしいです。



私は、お母さんのことが気になって、いろいろ調べてみました。



―――すると、お母さんの情報は簡単に出てきました。



お母さんは、お父さんと結婚する前は有名なアイドルだったみたいです。


それを知ってから、私はアイドルという職業に興味を持ち、惹かれていきました。



それと同時に、私も母のようなアイドルになりたいという気持ちが芽生えたのです。







私は一番上のお兄ちゃんに頼み込んで、東京の――――早乙女学園への編入手続きをしてもらいました。



早乙女学園は、実力主義な学校で、アイドルを育成するのに力を入れているらしい。


まさに、私にうってつけではないか。











それから、私はかつてないほどに猛勉強をし…





無事に、編入試験に受かることができました!





早乙女学園は、お兄ちゃんが行ったのと同じ…東京にあるのだけれど、そこも全寮制だし、偶然会ったりすることは無いだろう。



ふふふ…もうあの過保護なお兄ちゃんに悩まされることはない…!



絶対、素敵なアイドルになってやるんだから…!





――――――――




――――――





龍「えー…、転入生を紹介する。」



『あっ、あの!神宮寺名前です!アイドル志望です!よ…よろしくお願いします…!』



心臓がバクバクと脈打つ。




……ああっ…緊張する…!




私が自己紹介をしたところで、教室がザワザワとしはじめた。




転入生がめずらしいのかな…?それとも、神宮寺という名字に反応して…?



…神宮寺財閥は結構有名な財閥である。



私は、その神宮寺家の長女なのです。



小さいころから“神宮寺”という肩書きは大きかった。



………私としては、そういうのはあまり気にしたくはないのだけれど。





龍「静かにしろー。…んじゃ、神宮寺の席は……、」








ガタンッ!










?「……名前…?」








『……え…?』




突然名前を呼ばれ、驚いて声のした方を向く。




すると、そこには…――















『…おに、…ちゃ…、っ!?;』





………どう、して…!?;








そこには、目を見開いて唖然とするレンお兄ちゃんの姿があった―――。







龍「なんだ、やっぱ身内か。んじゃ…神宮寺の席はアイツの隣でいいな。」



『………っ、』







……よし………、



…私…、決めた。










もう神様なんて、信じない
…!






――――――――



――――――





昼休み。





レ「名前…一体、どうしてココに?」



『…………。』



神「もしかして、お兄ちゃんの事を追いかけて来てくれたのかな?」



『………………。』




無視。



ここまできて、また自由を奪われるなんて、絶っっ対にイヤ!!




?「なあ、お前ら…どういう関係なんだ?同じ名字ってことは兄妹かなんかか?」








『…え…?』



ふいに声を掛けられ、顔を上げると…帽子を被った金髪の男の子が目の前に立っていた。




翔「あ、俺は来栖翔な!よろしく!」



『あ…よ、よろしくお願いします…。』



レ「名前は俺の双子の妹なのさ。……手は出すなよ?おチビちゃん」



翔「チビって言うな!!手も出さねえし!;………っていうか、レンお前…妹とかいたのかよ。なんか意外だなー。」



レ「そうかい?」





カタンッ…



『…………。』




レ「おや、名前…?どこに行くんだい?」




『……………。』




お昼なんだから、食堂に決まってるでしょ…





レ「………ああ、食堂か。お兄ちゃんが案内するよ。」



グッ



『っ!?』



無視して歩き出そうとした瞬間に、グッと手を握られた。




な…なんで…



私、何も言ってないのに…!;




レ「名前の考えている事は大体分かるよ。………大事な妹だからね。」



…だったら、私の放っといてほしいという気持ちに気付いてくれてもいいと思うんだけど。





翔「へええ…。レン、お前本当に兄貴なんだな…。」



レ「疑ってたのかい?」



翔「い、いや…;だってあんまイメージ出来ねぇし…。つーか、お前が自分を“お兄ちゃん”と呼ぶとはな…、…プフッ…」



レ「変かな?」





『……………。』




…っていうか、いい加減手を放してほしいんだけど…。




レ「おっと、話すのもこれくらいにして…そろそろ食堂に行こうか。…お姫様も、空腹のようだし…。ね?」




『……、』




…ダ、ダメだ…!



このまま無視してたら、どんどん流されてしまう…!






『……わ、私…っ、一人で…!』




レ「名前、早乙女学園は凄く広いんだ。初めての名前は、すぐ迷子になってしまうよ。」



『………うぅ…、』



翔「俺も食堂行くし、音也たちもあっちに居るだろうから…、どうせなら皆で食おうぜ!」




レ「うーん…Aクラスには子羊ちゃんが居るし…、名前ともいい友達になってくれそうだね。……いいよ、行こうか。」



翔「よしきた!…おーい、トキヤ!お前も食堂行こうぜ!」







カタンッ…スタスタ…



?「はぁ……そんなに声を張らなくても聞こえます。……ん?あなたは…、」




『あ…じ、神宮寺名前です…。』




あ、あれ…?この人…誰かに似てる…




翔「コイツ、レンの妹なんだってよ!」



一「そうなんですか。…私は一ノ瀬トキヤです。」



『一ノ瀬、さん…。よろしくお願いします。』





……あ……分かった…!


この人バラエティとかによく出てる…、HAYATOとかいうアイドルに似てるんだ…!



一「?…どうかしましたか?私の顔をジッと見て…、」



『あっ、いえ…すみません…』




レ「ハハッ。名前、イッチーはHAYATOの双子の弟なんだよ。ね?イッチー?」



『双子、の…』



私たちと同じかぁ…。


でも、それにしても…似すぎなような…。



翔「オイ、レン…。なんでそんなに名前の考えてることが分かんだよ…。;こえぇよお前…;」




『………。』



……私も、そう思う…。






――――――――



――――――




食堂に着きました。




『うわぁ…いろんなのがある…』



何食べるか迷っちゃうよ…



レ「名前、何を食べるか決まったかい?」



『………え、えっと、』



2つには‥絞れたんだけど…、




『(ハンバーグとオムライス…どっちにしよう…)』



レ「ふふっ、その顔は…どっちにしようか悩んでる…って感じかな。」



『……う…、』



レ「何と迷っているんだい?…お兄ちゃんに言ってごらん?」



『…………………、ハンバーグと……オムライス……』



レ「ん。じゃあ、名前は先に席に行っておいで。…ほら、あそこにおチビちゃんが居るだろう?」



『…え…?でも…注文…、』



レ「俺がしてくるよ。…ほら、行っておいで。」



『……あ…うん…。』



まぁ…いっか…。






―――――――




私は、いそいそと来栖くんの方へ近付く。



近付いてみると、来栖くんは、私の知らない人たちと話しているところだった。





…って、あれ…?




よく見ると…なんだか、見覚えのある人が…、




…あの人は…もしかして…















『……マサくん…?』














聖「………名前………?」




来栖くんが話をしている人の中に、幼馴染みの姿がありました。




『…っ!』




うわわわわ…!




『マサくん…、マサくん…っ!!』



ガバッ!



聖「っ!!…名前…!?///」



『マサくん、久しぶり!なかなか会えなかったから、会えて嬉しいよ!…ところで、どうして早乙女学園に?』



聖「あ、いや、その……とりあえず…落ち着け…///;」



興奮のあまり、マサくんに
抱き着いてしまった私は、マサくんの言葉でふと我に返った。





………あ、そういえばここ…食堂なんだった…。






――――――――




翔「…なるほど。聖川とレンが幼馴染みっつー事は、名前も当然、幼馴染みってワケか。」



?「翔、知り合い?」



翔「ああ…今日、Sクラスに転入してきたんだ。ちなみに、レンの妹。」



『神宮寺名前です。』



音「ええっ!?レン、妹居たんだ!…あ、俺は一十木音也!よろしく!」



那「うわぁ〜!とっても可愛いです!僕は四ノ宮那月。よろしくお願いしますね。」



友「あたしは渋谷友千香!よろしくっ!」



春「あ、あの…、私は、七海春歌です…。よろしくお願いします…。」




『皆さん、よろしくお願いします…。』




ここの人たちは、みんないい人みたいです。




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