長編
□プリンスと私
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私は小さいときから歌が好きだった。
歌うのも、歌を作るのも。
そして、私にはひとつ癖がある。
それは私が上手く歌えずスランプの時…かつ、中学生のときに思い付いた歌を上手く歌うコツのようなもの。
――――大半の学生は大きなテストが終わった後、物凄い解放感を感じるはず。
私もその大半の学生のうちの一人だった。
あのなんとも言えない解放感。
私は、どうしても歌いたくなって、
教室を飛び出し、屋上で思うがまま、おもいっきりに歌った。
……すると、スランプであるにも関わらず
今までで一番いい歌を歌うことができた。
……まぁ、即興で作ったから歌詞とかはめちゃくちゃだったんだけどね。
――――――――私はこの快感を歌に活用すれば、
今まで以上にいい歌が歌えると確信した。
――――次の日…
私はテスト前のあの緊張感を再現するために
息がつまるような、カッチカチの真面目ちゃんスタイルで登校した。
キッチリみつあみに瓶底だて眼鏡、スカートだって基準よりちょっと長いくらいにした。
授業だって前までは居眠りしてばかりだったけど、頑張って真面目に受けるようになった。
……これだけやれば、
素に戻ったときの解放感が凄まじいはずだ。
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