企画部屋

□かなた様リクエスト
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最近、突然人気を獲得し始めて話題となっているアイドルがいる。




名前は名字名前。



その容姿は、一言で言えば“可愛い”。



綺麗に手入れのされた金色の髪、パッチリとした瞳、プルプルの唇…etc.



彼女は、そのすべてが整っていた。



そのため、彼女の容姿に目が眩んだ男性ファンが殺到。

女性からは批難の嵐。



…彼女が女性から不評な理由は、なにもそれだけではない。




彼女、名字名前は、男性か女性かで態度を変えるのだ。



例えば、スタッフがお弁当を楽屋に届けた際、


スタッフが男性ならば‥


「きゃっvおいしそぉ!ありがとうございますぅ!いつもお仕事お疲れ様ですっ(ハアト)」


……となる。


しかし、コレが女性スタッフだった場合…




「……………そこ置いといて。……は?何やってんの?早く出て行きなさいよグズ。邪魔。アタシの視界から消えて。」




………と、こんな感じになる。



まさに劇的ビフォーアフター。

子供が見たら、確実にトラウマ決定なのである。



男性スタッフがトゥンク‥となるのに対し、大体の女性スタッフは無表情になる。



怒りを通り越しての、無。



それでも、内心はスゴい事になっているだろう。



普段笑顔の人がそうなった場合、尚恐い。



…目が合ったら、思わず謝ってしまう程に。




………と、話しはズレたが、



とにかく、彼女は男受けがいいのだ。



しかし、そんな彼女は‥


男性関係でメディアに報じられたことが一度もない。


つまり、“熱愛発覚!!”とかいう文字から始まるスキャンダルが一度も出ていないのだ。



これだけ男性に媚びているのにどうして、と疑問に思う女性も多いだろう。




しかし、その答えは実に簡単だった。








―――彼女には、ある一つの目的があったのだ。





――――――――



――――――


[名字名前side]




「あのぉ、あたし、名字名前といいますぅ!今日はよろしくお願いしますねぇv」



嶺「んん!君が話題の名前ちゃんだね!よろしくマッチョッチョ☆」




あたしは今日バラエティ番組に一緒に出演することになった先輩に挨拶をしに来た。



ついにこの日が来たのよ…



モブの男に媚びて…利用して、やっとここまで人気アイドルとしての知名度が上がってきた。



それもこれも…この4人に近づくため…。





だって、ヒロインはヒーローの傍に居なきゃでしょ?



これからあたしを取り合うことになるのよ。



ふふ…




あたしは、歓喜で弛む口元を隠すように俯いた。




嶺「んん?どうしたの?具合悪い?」



「いえ!ただ…先輩方に会えて…嬉しくて…///」



嶺「おおっ!嬉しいこと言ってくれるねー!…そうだ!お菓子食べる?ランランたちも居るから一緒にお話ししよっか!」



「えっ!いいんですかぁ?じゃあお邪魔しますぅ」



あたしは嶺ニに続いて先輩たちの楽屋へ入った。




…やっぱり、あたしはヒロインだから当然よね。





――――――――



――――――




嶺「ねえみんなー新たな後輩ちゃんを連れて来たよっ☆」



蘭「うぜぇ。何楽屋に女連れ込んでんだよ。」



藍「レイジ…無節操にも程があるよ。…というか、ここは一応ボクたち4人の楽屋なんだけど。……そういうのは余所でやってよね。」



嶺「ランランもアイアイも酷い!!;僕のことを何だと思ってるの!?;」




蘭「バカ。」



藍「変態。」



嶺「ガーン…!!;嶺ちゃんに5000のダメージ!嶺ちゃんは目の前が真っ暗になった!」



蘭「おうおう、勝手になっとけ。」



カ「…やかましい…ちょっとは静かにできんのか、この愚民共が。」



藍「うるさいのはレイジだけでしょ。」



カ「…………だいたい、何故また貴様らと同じ楽屋なのだ。…納得いかん。」



藍「それはボクも思った。…でも、この4人が同じ楽屋に入れられるのは、このテレビ局での仕事の時だけだよ。…なにか意図があるんじゃないの?」



嶺「あ、それは多分…僕がここのスタッフさんやプロデューサーさん達に、僕らが仲良いって事を散々アピールしたからじゃない?」



蘭「はあ?」



カ「なんのつもりだ貴様。くだらないホラばかり吹きおって…」



嶺「だって…みんな一緒が楽しいでしょ?それに…嘘なんかじゃなくて、僕ら本当に仲良しじゃない!」



藍「…………たぶん、そう思っているのはレイジだけだと思うよ。」



嶺「ガガガーン…!!;そんなぁー…!;」



「…あ…あのー…、」




嶺「ハッ!そうだった!連れて来たのに放置しちゃってゴメンね!;ほら、ソファーに座って座って!」



「はい…っ、失礼しますっ」



カ「………貴様…何故俺の隣に来る。」



「えっ、」



嶺「こら、ミューちゃん!この楽屋にある椅子はミューちゃんが座るこのソファーと、ランランとアイアイが座ってるソファーしか無いんだから!」



藍「二人掛けのソファーが2つ…一人増えたら足りなくなるけど、レイジはどうするわけ?」



嶺「僕ちんは若いから、立ってても平気だもーんっ!」



藍「……………そう。」



嶺「あるぇ!?;もうツッコミもなし?;」



藍「レイジの言う事にいちいち反応してたら、こっちの身が持たないからね。」



「あ…あのっ!あたし…名字名前っていいます!」



藍「知ってる。(あまりいい噂は聞かないけど。)」



「えっ!本当ですかぁ!?//ありがとうございますぅ!」



やっぱり…!


あたしはヒロイン…!!




蘭「…興味ねえ。」



カ「鬱陶しい。帰れ。」



「…………。」



大丈夫。分かってるわ。



この二人はツンデレなのよね。



可愛いあたしが近くにいて、照れてるだけ…。



……だってあたしはヒロインだもの。




嶺「ちょっと、ランランにミューちゃん!可愛い後輩なんだから優しくしてあげなきゃ!」



「いいんです、嶺ニ先輩。あたしが図々しくお邪魔したから…」



嶺「後輩ちゃん…、」




コンコン…



嶺「ん?誰だろ…。はーい!」



ガチャッ



『やっほー、エブリワン!』



扉を開けて入って来たのは、ミツアミで瓶底眼鏡の、トコトン地味な女だった。



「(……なにこの女……スタッフかしら。…ブスの分際であたし達だけの空間に入ってくるなんて…)」




嶺「っ!!あだ名!!」



「(え…?)」






ガタンッ!



藍「名前!?」




「(……は?)」







『丁度仕事が終わってね、4人がここに居るって聞いたから来てみたんだ。…皆、久しぶりだね。』




嶺「うわーうわー!本当に久しぶふぉっ!!;」




藍「名前!!久しぶり!」



『お!藍ちゃん久しぶりー。今日も可愛いね!』




ナデナデ…



藍「っ!!……えへへ…」




なによ…これ…





嶺「アイアイ酷い!;いきなり突き飛ばすなんてっ!!;あだ名、慰め――がふっ!!;」




蘭「おい、名前。次の仕事は何時からだ。」



『えっと…一応、午後からだけど。』



蘭「じゃあ暫くココに居ろよ。」



『あ、うん。』





なんなの…





カ「…かと言って座る場所は4つしかないからな。…特別に俺の膝を貸してやらんこともない。」



蘭「調子に乗るなよカミュ。テメェは嶺ニでも乗っけてろ。」



カ「ハッ…誰が。」



嶺「さっきから皆、僕の扱いが酷すぎない!?;」



藍「それはいつもの事でしょ。……というか、名前は渡さないよ。」





誰なのよこの女は…!!





『い、いや皆…ソファーなら詰めて座れば…、…っ!!!』



藍「……名前…どうし―――」








『美少女発見っ!!』




シュバッ!!




「…は?」




突然目の前まで来た女に、少したじろぐ。



そんなあたしの様子を無視して、女はあたしの手を握った。




『私は名字名前!!あなたのお名前は!?美少女さん!!』




藍「……………。」




こちらの様子を窺っていた藍にキッと睨まれる。





………ああ、なるほど。








これは、あたしが逆ハーを築く為の試練であり…過程なのね。





あたしは口だけで笑顔を作り、


目の前の女に名前を告げた。








恋に障害は付き物だもの。



どうやってこの女を陥れようかしら。





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