陽炎

□1章
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「絶対に顔は見せない。分かったか?……さっさとそれ渡して巣へ帰れ。」


「ひどっ!宮先輩ひどい!
……じゃなくて、それは無理なんですって!」


「……何でそんなに粘るんだ。」


「……昨日、雷蔵と喧嘩しちゃって。
それで、先輩の顔見れれば、仲直りできるかなって思いまして。」


なるほど、不破が絡んでいたのか。
それで……。


でも、

「それなら大丈夫。不破と仲直りしたいんだろ?その気持ちさえあれば、あいつなら許してくれるだろ。」


「先輩……!」


蜂屋の頭を優しくなでる。

蜂屋は、俺の顔を見ると、



















にやりと意地の悪い笑みを浮かべて
俺の手拭いを取った。







え、取った?
 
「……え?」

「駄目じゃないですか。これくらいの嘘を見抜けないなんて。全部嘘でーす(笑)
宮先輩、その顔いただきました!」

そういって去っていく蜂屋をいつのまにか返された布を握りしめながら呆然と見つめる。
そして顔がカッと熱くなる。



……見られた!!








  

   ……その日、蜂屋を見るたびに、睨みつけながら顔を赤くする宮の姿が見られたという。


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