読みモノ【短】

□酔いには御注意
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泥「ちっ… つまんねぇな、うん」




オイラは一人自室の机に突っ伏した状態。


隣の部屋では、にぎやかに飲み会中だ。
もちろん、未成年であるオイラに酒は飲めない。

酒が飲めないオイラとしては、あの場に居てもつまらないと思い自分の部屋に逃げた。



泥「あー… 暇だ、うんー」

オイラも早く二十歳になりたい。
二十歳になれば、一応大人として認めてもらえるし、酒だっていくらでも飲んでいいんだ。

…つか、旦那は今頃どうしてんだろ。 旦那酒には強いからな、瓶丸ごと一本飲んでそうだな…
オイラも旦那と飲みてぇな……



なんだか眠くなってきた。
旦那もしばらく戻ってこなさそうだし、一眠りしよう。















痛「デイダラ、おい、デイダラ」

泥「っん…… ぁ、リーダー…」


目を覚ますと、オイラの目の前にリーダーが居た。 どうしたんだろう。


痛「寝てるところ悪いな、サソリを介抱してやってくれ」

泥「? …旦那どうかしたのか?」

痛「いや、飲みすぎただけだが… 後は頼む」


そう言ってリーダーはすぐオイラの部屋から消えた。




とりあえず、旦那はどこだろうと辺りを見渡したら、部屋の隅に旦那が顔を伏せて座っていた。
そんなに気分悪いのか…?
オイラは旦那に声をかけようと近付いた。

オイラは旦那の前にしゃがむ。


泥「旦那、大丈夫かい?」

蠍「…ククッ、捕まえたぜ」



素早くオイラに抱き着いた旦那。
…どういうことだ? うん。




蠍「なに勝手に部屋戻ってんだばーか、オレを一人にしてくな」

泥「え、あ、…ごめんよ」



酔っているせいか、目が赤く少し潤んでいる。
その目で、オイラを上目遣いで見てくる。


旦那は無意識だろうが、オイラからすれば煽っているようにしか見えねぇ。



そんなオイラの気持ちなんて知らず、旦那は語り始める。


蠍「大体お前、最近オレのこと構わないよな。 …オレに飽きたのかよ? オレはこんなにデイダラのこと大好きなのに」



なぁ、ちゃんと好きか? と旦那がオイラを真っ直ぐ見つめて問う。


その必死な様子が可愛くて、オイラは少し意地悪したくなった。


泥「オイラが旦那に飽きた、って言ったら?」

蠍「…え、……デイダラ、オレに飽きたのか?」

泥「んー、ちょっと」



なんて、飽きるわけないけどな、うん。

今度はオイラが旦那に問う番。



「なぁ、オイラ旦那に飽きちゃったんだよ。 どうすればいい?」

蠍「どうすればいいって… オレに聞くな…っ」


そう言ってそっぽを向いた旦那。



あぁ、まぁ… うん。

きっとどうでもいいって顔してんだろうな、と思いながらオイラは旦那の顔を覗きこんだ。




蠍「!…… っふ…ぇ、ばかやろぉ、見んなぁぁ…」


そこには涙でグチャグチャな顔の旦那がいた。



泥「だ、旦那?」


予想外の表情で、オイラはドキッとする。

あんた泣いてても綺麗だな。



蠍「な、んで ふっ、オレはデイダラのこと好きでっ、毎日触れてほしくて仕方ないのに… あ、飽きたなんてっ言うなぁ! ふぇぇ…っ」

泥「旦那泣くなって、オイラ旦那に飽きてないよ、だから泣くなよ、うん?」


まぁ、旦那を泣かしたのは紛れもないオイラだけど。




蠍「っふぁ、ぅ… ほんと…?」


あぁ、その表情やべぇよ旦那。
堪んない、うん。



泥「うん、ほんと。 旦那がどんな反応するか気になったんだ、うん」

蠍「ばっ…! 冗談でもあんなこと言うなよぉ…っふ……」


オイラを強く抱き締める旦那。
たまには酔ってる旦那もいいな。
すっげー可愛い、うん。
オイラ理性を保てるか不安になってきたぞ、うん……




泥「ごめんよ、もう泣くなって。 酔うと旦那は甘えたさんだな」

蠍「そんなこと知らねぇよ…グスッ」

泥「旦那の泣き顔可愛いかったぞ、普段の鳴き顔も可愛いけどな? うん」

蠍「だ、黙れ…! 」

泥「顔赤いぞ? 旦那」

蠍「っぅ… るせ…」


そう言って頭を撫でてやると、旦那は一瞬ビクッとして気持ち良さそうに目を瞑った。

あぁ、本当に可愛い。



泥「旦那、大好きだ。 これから先も飽きたりしないから心配すんなよ、うん」

蠍「ん… オレもデイダラ好き。 大好き」


旦那は顔を赤く染めて、オイラにキスした。

唇じゃなくて頬に。


泥「旦那、頬じゃなくてこっちだろ?」


そう言ってオイラから唇にキスしてやると、旦那は手で顔を覆って真っ赤になった顔を隠した。




蠍「…。」

泥「…旦那?」

蠍「…。」


泥「足りないのかい? うん」


オイラの問いに旦那が俯いていた顔を上げた。
分かりやすいなぁ。


泥「そうだな、可愛くおねだりしてくれよ」

蠍「! …や、やだ」

泥「ふーん。 じゃしない」


あ、旦那泣きそう。
そんな顔してもダメ… だけどな、うん。
にしても、旦那の泣き顔に弱いなオイラ。 もっといじめたくなるっつーのかな、うん。 愛しくて堪らないんだ。



泥「なぁ、サソリ…」

蠍「ふぇっ、デイダラ?」

泥「ん?」

蠍「い、今オレのこと名前で」

泥「あぁ、うん。 嫌だったかい?」


蠍「ううん、嬉しい…」

顔を赤く染めて、優しく微笑む旦那。




…っ、もう我慢ならねぇ

オイラは旦那に強引に唇を重ねた。 あぁ、オイラから仕掛けたのになんかカッコ悪いな…


蠍「っふぅ、はっ、んはぁ」

時々聞こえる旦那の吐息にオイラは興奮する。



息つく暇もないキスに、旦那が苦しそうに顔を歪めたため仕方なくオイラから唇を離すと、
旦那が再度オイラに軽いキスをした。


蠍「やっ、口離すなぁ…」

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