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□神様は残酷な天使
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神様は残酷な天使

2神様も女のコ

ある日神様は、いつものように男を引っかけようと、町に出掛けた。

とある図書館に立ち寄る。

図書館の中は冷房でひんやりとしていて、神様はカーディガンを羽織った。

そこに、神様の次のターゲットはいた。
チャラチャラしているのに読んでいる本は難しそう。
神様が見とれていると、彼はふと顔をあげた。

「っ… びっくりしたー。すぐ横にすげえ美人が立ってるなんて。」

神様は違和感を覚えた。
(コイツ、私に見とれない!?)

いつもなら男はバカみたいに自分に見とれる。
声をかけてあげると、あからさまに嬉しそうな顔をして…


「何?無視かよ。」
そう言って彼は本に向き直った。

しかしすぐにまた神様の方を向いて、立ち上がった。
急に近づいた距離に戸惑う神様をよそに、彼は神様の耳元に甘い声で囁いた。

「女心を鋭く読み取る俺から見て、お前は俺のコトが気になってる。」

まるで心を見透かされているようで、神様は顔を赤らめた。

するとその反応を待っていたかのように、彼は

「当たってるだろ?」

と囁いた。

今までの男とは違う、コイツは絶対に女にしっぽを振らない。
女の方から来させる…


髪がすぅっと引かれた。彼が神様の長い髪に指を絡ませたからだ。
今も2人の距離は近い。
その髪を緩めると彼は、

「俺もお前が気になる」

と、いたずらな笑みを浮かべて囁いた。

「俺は朝比奈 圭。お前は?」

「…っ清瀬…ミカ。」

「また会おうな?ミカ。」

そう言って圭は、神様の頬にキスをした。
立ち去る圭を目で見送る。

気づくと神様のスカートのポケットには、圭の名刺が入っていた。ケータイアドレスと電話番号が裏に記入されて…


圭の名刺には、「クラブCINDERELA」「ケイ」
と書かれていた。白い背景に薄い水色のお城のシルエットが描かれたデザイン。

(クラブ…?)

そう、彼はホストだったのだ。

(行ってみようかな?)

神様の一瞬の気の迷いだった…
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