黒魔女さん
□隣の家の大形くん
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「千代子〜?大形くんよ〜?」
一階からママの声が聞こえる。
「あら、あ、そうなの?ありがとうね、大形くん」
ママの大きい声だけ聞こえてくる。
あー…もう!集中出来ない!!
「ちょっとギュービッド様?一階見てきて良い?」
呪文の書き取りを一旦止めて後ろを振り向く。
「だぁーめ!そんなに大形に会いたいのか!」
違うよ、そうじゃなくて。
「煩くて集中出来ないもん」
「大丈夫でーす。集中できまーす」
あんたが決めるなぁッ!!!!
ああもう!
「ええ!是非!お母さんもね…ーー…」
なんだかやけにママ嬉しそうだなぁ……。
私は呪文の書き取りをするふりをしてこっそり聞き耳を立てていた。
手もちゃんと動かすふりをしながらちらっちらっと、ギュービッドの目を盗んで。
…あれ?声しなくなった……。
私は不思議に思いながらも、仕方無く呪文の書き取りを再開した。