長い夢
□03
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目を覚ませば外は暗くなっていた。
「服着なきゃ…」
まだ隣で眠っているロー君を起こさないようにあたしは静かにベットから出る。
帰る支度が整うと、携帯に目をやる。
まだそんなに遅い時間帯じゃない。
ロー君には悪いけど帰ろう。
ガチャ。
部屋のドアを開けると家の中はまだ静かで、ロー君の親はまだ帰ってきてないようだった。
「ん…名無しさん…?」
ロー君の虚ろな目が、あたしの姿を
捉える。
「ごめんね。起こしちゃった?」
「いや…帰るのか?」
「ん。お邪魔しました」
「送ってく…」
「大丈夫だよ。まだ遅い時間帯じゃないし…また学校でね」
そう言ってあたしはロー君の家を後にした。
「…馬鹿だなぁ、あたし」
何となくでも分かってた筈なのに、
最初にロー君と約束した筈なのに。
あたしを抱いている時、ロー君は一度もあたしの目を見なかったし、果てる時も違う女の子の名前を呼んでた。
好きな人と一緒になれるのは嬉しい事の筈なのに、あたしは悲しいだけだった。