その他/short
□ペンギンぱにっく
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始まりは、ある一件のニュースだった。
サッカー部という多忙な部で、今日は唯一のオフ。
…を、アイツはいとも簡単にブチ壊しやがった。
「ねぇ明王!!ペンギンが水族館から逃げ出したって!!」
「あぁ?知らねぇーよそんなの…。」
突然家に来るなり、なんだコイツ。
いきなりな上に、伝えられたのは心底どうでもいい情報で、俺としては迷惑この上ない。
ってか、なんだよ、ただの鳥類の脱走じゃねぇかよ、それ。
「あれ、テレビ観てないの!?」
「観てるわけねぇだろ…。」
「じゃあ早く早く!!ほらちゃんと観て!!」
「おい何勝手に人ん家のテレビつけてんだよ。」
「確かこのチャンネルが可愛く映ってたハズ…。」
「……………。」
あぁ、さらば俺の休日。
ってかホントに勘弁してくれ。
…それにしても、コイツ図々しいにも程があるだろ。
常識を知れ、常識を。
まぁ、コイツが常識を知っているとは思えねぇけど。
《このペンギンは、××水族館のペンギンと見られ…》
自然と耳に入り込んでくる、流暢なアナウンサーの声。
どうやら、発見された場所はここから目と鼻の先の距離にあるらしい。
まぁ、かといって別に行く気にはならねぇけど。
…しっかし、なんでこうも日本人はこの程度のことで騒ぐんだよ。
もっと他に注目すべき事があんだろ。
「ふんふん、ここからすぐだね!!じゃあ、行こうか!!」
「………は?」
繋がれる右手と右手。
走り出す俺達。
………あぁ、俺は今日もコイツに振り回される。
ぺンギンぱにっく
((きゃーっ、ペンギンペンギン!!))
((…まぁ、悪くねぇか))
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明王の家に行きたい。