その他/short

□Two Lunatic
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 「あっ、これってカナト君のテディじゃ…。」


――――――今思えば、なんであんな事したんだろう。


 「あれ…なんか、ここ取れかかってない…?」


――――――知らないフリして、放っておけば良かったんだ。


 「よし、私が縫って直してあげよう。」


――――――――…………
―――――――………
――――――……

バキッ、耳を塞ぎたくなるような音が部屋中に響き渡る。

刹那、頬に感じた鈍い傷みと、口内に広がる、鉄の味。

異様な味の唾液を吐き出せば、赤と透明が混じった液体が床に染み付いた。


 「ゔっ…ゲ、ホッ…っ、」


 「痛いですか?でも、僕はもっと胸が痛いんですよ。」


 「…なんで、こんなこと…っ、するの…っ?」


 「…なんで…?」


カナト君は、全てを恨むような、軽蔑を含んだ目で私を見る。

私は、この目が好きじゃ無かった。

私の事を、心から嫌ってるような気がするから。


 「君が、テディに酷いことするからですよ。」


 「酷いこと…って、私はカナト君の事を思、


私は、続きの言葉を繋げられなかった。

―――――――カナト君が、怖い。

カナト君は、怒ってる、なんてもんじゃない。

カナト君は、怒り狂ってる。


 「僕の事を思った…?………自惚れるのも大概にして下さいよ!!」


 「カナト君、ごめ、


 「なんで…っ、なんで僕のテディが…君の汚らわしい手に触れられなくちゃいけないんだよ!!」


 「…っ、」


 「しかも…針を刺すなんて…痛かったよね?ごめんねテディ…、だからさ…。」


――――――彼女にも、傷みを味わってもらおうよ。


 「…あ…あぁっ…。」


まさか…カナト君、いや、そんな手に持ってるのって…そんなの死んじゃうよ、やめてよカナト君、こっちこないでよ…ねぇ、いや…ア、ハハ、私死んじゃうの?殺すの?ねぇ、カナト君。


 「テディみたいに、君も縫ってあげますよ。」


そう言ったカナト君の口元は歪んでたけど、目は少しも笑っていなかった。



Two Lunatic




 ((今更後悔しても))


 ((もうどうしようもない))


――――――――――――
カナトがカナトじゃない。
狂愛苦手な管理人が、狂愛を目指したらこんなになった←
 

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