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□小さな演奏会
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秋の色って、紅茶の色に似ていると思う。

やさしくて、自分を包んでくれるような紅色。

いや、紅っていうより橙色かな?

でも、紅茶は橙色とは言わないよね…。


 「どうかしましたか?」


 「えっ?」


 「いえ、貴女が真剣な顔をしていたので…。」


私のカップに注がれた紅茶に、悠斗君の不安そうな顔が映る。

その端整な顔立ちは、水面に映っても変わらないらしい。


 「何か、気になることでも?」


 「んー…、紅茶はやさしいなって。」


 「…あぁ、これですか。確かに、とてもやさしい味だと思います。」


そう言って、悠斗君は優雅に微笑んだ。

無駄の無い動作だけれど、決して固くない身のこなし。

…あぁ、そっか。


 「やさしいのは、悠斗君だ。」


 「え?」


綺麗で、女の私ですら羨ましいと思ってしまうほどの容姿。

でも、私には分かる。

悠斗君が見せる、私にだけ見せる、柔らかい動作。

いや、私に見せているんじゃ無くて、私が魅せられているのかも。


 「悠斗君、お願いがあるの。」


 「なんでしょうか?」


 「バイオリン、弾いて欲しいな。」


 「…バイオリン…ですか?分かりました、少し待っていて下さい。」


さっきの私の発言に疑問が残るようだが、悠斗君はすぐに準備に取りかかってくれた。

やっぱり、こういうところ優しいな。

きっともうすぐ、悠斗君は愛用のバイオリンを持ってやって来るだろう。

そして、私は目を閉じて悠斗君の奏でる曲を聴くんだ。



小さな演




 ((秋を奏でて))


 ((私だけのために))



――――――――――――
バイオリン弾いてる悠斗様とか美しすぎだろぉ!!
お題はひよこ屋様からお借りしました^^*
 

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