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□君はパッションフルーツ
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勉強、スポーツ、野菜、…人は誰しも、苦手なものが1つはあるだろう。

私の場合は、ケーキの竹馬の友と言っても過言ではない、フルーツ。

これだけはどんなに頑張っても克服出来た試しがない。

噛んだ瞬間、口いっぱいに広がる果汁特有の甘さと、香り。

耐えられたものじゃない。


 「ハァ…どうしてなのかしら。」


自慢じゃないけれど、私は大抵のことは出来る。

それに、男性から好意を寄せられたことだって一度や二度では無い。

なのに果物は…

そこまで考えた私は、あることに気がつく。

そう、忘れてはいけない。

私が果実と同じ…いやそれを遥かに上回る程苦手なもの、いや、人。


 「ベリーちゃ―――ん!!」


そう叫びながら此方に駆け寄ってくる、苦手なヒト。

思わず目を細めてしまうような眩しい黄色を身に纏った彼、岬虎太郎。

しょっちゅう女の子をナンパしているような軽いヤツ。(まぁ、想像だけど)

要するに、私には理解出来ない…というか理解したくないタイプである。


 「にゃーっす!!俺っち参上っと!!んーやっぱりー、ベリーちゃんは今日も可愛いっしょ!!」


 「…出来れば来て頂きたく無かったわ。」


 「でぇ――――っ!?なんか扱い酷くにゃい!?」


 「この際ハッキリ言わせて頂くけど、私は貴方みたいな人嫌いなのよ。」


きっとこういう男が女の子をたぶらかして次から次へと乗りかえ遊ぶんだわ、あぁヤダヤダ。

これだから私はチャラチャラした男は苦手なのよ。

もっと九条先輩のような誠実で真面目な人じゃないと。

…そして、私がこの男を嫌いなもうひとつの理由。

それは、この男の匂い。

吐き気がするぐらいの甘ったるい匂い。


 「…なぜ貴方からはそんな匂いがするのかしら?」


 「にゃ?あぁーっ、これはフルーツの匂いだよっ!!ほら、俺っちの家はフルーツ店やってるからさっ!!」


 「げっ、フルーツ…。」


どうりで私が大嫌いな匂いがするわけだ。


 「ひょっとして…ベリーちゃんってフルーツ苦手?」


 「そ、そんなわけ無いで、」


 「じゃあ俺っちの家来なよー!!」


 「な、なんで私が…!!」


岬虎太郎は、ニッコリと微笑んだ。

 「ベリーちゃんがフルーツ大好きになる魔法をかけてあげるからさっ!!」



君はパッションルーツ




 ((そうと決まれば、早速行くしかないっしょ!!))


 ((私の話を聞いて頂戴…))



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