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□グレープフルーツは甘味
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あれから私は、岬君の家へと強制連行。

目に入った「岬フルーツ店」の文字に、嫌でも自覚させられてしまう。

彼の家へ来てしまったのだ、と。


 「じゃあ、俺っちの部屋で待っててねベリーちゃん!!」


 「…わ、分かったわよ。」


―――ここで逃げてもよかったのだが、私は彼の言う通りにした。

何故だか明瞭には分からない。

けれど、ひょっとしたら私は期待したのかもしれない。

 「ベリーちゃんがフルーツ大好きになる魔法をかけてあげるからさっ!!」

彼のこの言葉に。

このまま自分の中に傷を残すよりは、彼を信じてみるのも悪くない、とそう思ったのかもしれない。

そんなことを考えているうちに、彼はいつの間にか戻ってきていた。


 「お待たせ、っと。じゃあベリーちゃん、突然だけど、グレープフルーツは食べられ…にゃいよね…。」


 「柑橘類…というかフルーツ全般苦手よ。」


私がそう言うと彼は眉をハの字に下げ、ガックリと項垂れた。

その姿に、少なからず良心が痛む。

…が、直ぐに気を取り直し私に向かって言い放った。


 「グレープフルーツは酸味の強い果物っしょ?だから俺っちは、これを持ってきたよっ!!」


じゃーんと効果音が付きそうな程勿体ぶって出した物は、ふわふわの、白い粉。

女の子で嫌いな人はほぼいないであろう、砂糖だ。


 「…それが、何なのかしら?」


思ったことを聞いてみた。

が、彼はどうやらこの質問が欲しかったようだ。

待っていましたとばかりに、自慢気に答える。


 「砂糖をかけちゃえば甘くなるし、酸味も消えるし!!正に一石二鳥っしょ?」


そう言うが早いか、彼は手際よくグレープフルーツを食べやすいサイズにカットし、砂糖を適量ふりかけた。

こうして見ると、なかなか美味しそうである。

見るだけ、ならの話だが。


 「はいっ、ベリーちゃん、食べてみて?」


 「…。」


私は恐る恐る、口に含む。


 「どう?」


 「…美味しい、かも。」



グレーフルーツは甘味




 ((ほ、本当!?ありがたや〜!!))


 ((わ、悪くないってだけよ!!))



――――――――――――
本当に美味しいかは知りません。でも母さんがやってましたww
 

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