TYB/medium

□アップルに染まる頬
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 「来てくれたのは嬉しいけど…。」


 「…何かしら?」


 「にゃんで九条さんがいるのー!?おかしいっしょー!!」


サッカー部室の前で叫ぶ、彼。

現在時刻、午後9時。

周囲に多大なる迷惑をかけていることに気付いて欲しい。


 「俺が来ては、まずかっただろうか?」


 「いえ、そんな事ありません。ね?」


 「にゃー…、俺っちーすんごいフクザツな気持ちー…。」


そう言うと彼は、しょんぼりと項垂れた。

…が、きっとすぐに復活するだろう。

ポジティブな性格は、彼の良点でもある。

私は彼のそういう所に、少なからず好意を持てる。

…好意、か。

最近の私は、なんだか可笑しい。

前は彼の言動も、お節介としか思っていなかったのに。

今では、なんだかそれを彼の優しさなのではないかと認識している自分がいる。

…駄目だ、考えれば考えるほど、分からなくなってくる。

頭の中がグチャグチャだ。


 「もう何なのよ!!」


 「ど、どうしたんだ!?」


 「ベリーちゃん!?」


 「あっ、な、なんでも無いわ!!」


思わず声が出てしまったみたいだ。

…非常に恥ずかしい。

顔から火が出そう、とは正にこの事である。

自分でも燃えているのではないか、と思うほど顔が熱い。


 「み、岬君、絶対に勝ちなさい!!」


失態を誤魔化すように、適当な言葉を述べた。

が、自分でも不可解なことを言ってしまい、当然それは逆効果で。


 「べ、ベリーちゃん…!!」


 「な、何よ。」


 「ベリーちゃんが俺っちのこと、名前で呼んでる…!!」


 「…!!」


 「あーっ、もう可愛い!!大好きー!!」



頬色、ップル




 ((今日は紅潮するほど温度が高いのだろうか?))


 ((し、知りません!!))



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流石KY九条、出ている意味皆無。
 

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