TYB/medium

□ストロベリーな恋
1ページ/1ページ



これが現実だと、信じたく無かった。

昔から失敗したことはあまり無かったし、完璧な自分しか知らなかった。

なのに…なんで肝心なところで、上手くいかないんだろう。


 「………。」


目の前の彼も、どうしていいか分からないようだ。

でも、彼はなにも言わなかった。

それはきっと、私の性格上、慰めたら私が傷つくと分かっているから。

彼なりの優しさなんだ、それが。

隅に転がっているボールを、これでもかというほど睨み付ける。

お前さえぶつかって来なければ。

そんな事をしたって、どうにもならないって分かっているのに、身体が言うことを聞かない。

ただの、八つ当たり。


 「――――ベリーちゃん。」


私の視界いっぱいに広がる黄色と、身体中で感じる彼の体温、そして、優しい香り。

眩しい黄色もうっとおしくて、甘ったるい香りも、吐き気がするとしか思っていなかった。


 「ありがとう、ベリーちゃん。」


これじゃあまるで、私が彼のことを好きみたいじゃない。

―――あの時は、気づいていなかった。

"見たい"じゃなくて、本当に彼のことを好きになっていたこと。

これが異性に抱くような、特別な感情なのかは分からない。

でも、今なら言える。


 「好き。」


 「えっ、」


 「私は、あなたの事が、好きなの。」


たった一言言うだけなのに、心臓が破裂しそうだ。

こんなに緊張するなんて、でも、それがなんだか心地好い、なんて。


 「えぇーっ!!ベリーちゃん、ど、どうしちゃったの!?」


 「なっ、何よ!!私は正常よ!!」


 「でも俺っちも大好きー!!もう一生離さないからねっ!!」


そう言って、彼はさらに強く抱き締めた。

ぎゅーっと効果音が付きそうなほど、強く。

…私、溶けてジャムになるんじゃないかしら。



ストロリーな恋




 ((きっと、))


 ((男の子として、好きなんだろうな))



――――――――――――
あれ、告っちゃった。
ちなみに執筆中BGMは跡部の「好きさ好きさ好きさ」ですww
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ