POOR THE WORLD

□RTW第一章
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マリアは久しぶりに戦いの旅から帰ってきていたのだった。
「ああ、こんな日々が続けばいいのに…」
マリアはいつもこう思う。
しかしそういうわけにはいかないのだった。



───マリアは、クラウンの近くの森に捨てられていた。それを森に木の実やキノコを採集しに来ていたジュリアナに発見されたのだ。
マリアはジュリアナが本当の母でないことは知っている。自分には親がいないことも知っている。
だからクラウンの戦士たちは少しでも力になろうと旅にでるときマリアの親の手がかりがないか確かめる。
マリアは親の愛を知らない。だから親がどんな人なのか気になるけれど、さがそうとは思わない。

しかしそんなこととは知らず戦士たちは手がかりを探し続けている。
そんな戦士たちにマリアはなにか罪悪感を感じるのであった。

そんな矢先にー…
「おい、マリア。お前の親の手がかりが少しつかめたぞ。」
話しかけてきたのは戦士のなかでも図体がしっかりとしているダインだった。
ダインはついさっき旅から帰ってきたのだった。
「本当に!?よかったわね、マリア。」
ジュリアナが喜ぶ。
マリアは本当の気持ちを誰にも話していなかったため複雑な気持ちでいた。
「だが…いい知らせではない。聞きたいか?」
ダインは低い声でたずねた。
マリアは少し考え…どうせ自分を捨てた血のつながっているだけの知らない人なので…と、ゆっくり頷いた。
ダインは少し間をあけて話始めた。
(どう伝えれば傷つかないか考えていたのだと思う。)




「率直に言うと…マリアの父親は…死んだそうだ。」




包み隠さず事実を述べること。それがマリアに対すべき伝え方だった。
同情などいらない。知らない人の死を告げるのに同情などしても意味がない。この子には事実だけを伝えるべきなのだ。
そう思ったのだろう。
それを聞くとマリアは少しだけうつむき、頷いた。
ジュリアナは
「そう…それは残念ね。」
と言うと、マリアが落ち込んだりしないか気にしていた。
また少し間をあけて、
「俺が旅に出た先のマルール村にいた老人の話によると、約15年程前に悪魔から殺されたそうだ。」
マリアはまた頷いた。
「今からまた、マルール村に悪魔がいるという情報を得たから行くのだが、一緒に来ないか?その老人に会わせてやるよ。」
そしてハッと気がついたかのように
「なにも上から言われてないならな。」
と付け足した。

クラウンではほぼ全員の戦士が住んでいる、大きめの家があった。その家をクラウドと読んでいる。そこには長老がいた。長年悪魔と戦ってきた者だ。その長老はもう戦いこそはしないものの、長年の勘や知識をいかし、戦士達に指令を出す時がある。
マリアも戦士の1人なので長老から指令がいっていたらそれを最優先させなければならないのだ。

マリアは今のところないと伝えると、ダインは
「戦いの準備をしておけよ。」
と言い残しクラウドへ戻っていった。

「じゃあ、またね。ジュリ。」
マリアもクラウドに住んでいるためその後をついて行くようにその場をさった。
ジュリアナは心配そうにしていた。もし今の話で心に傷を負ってしまっていたら、悪魔との戦いがおろそかになったり、自分を傷つけてしまうのではないかと思ったからだ。


そして、マリア含めダイン達はマルール村へと旅に出かけて行ったのだった。
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