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□私の彼氏は甘えたわんちゃん
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『移動教室ってなんであるの、ブン太』


「俺に聞くなぃ」


「プリッ」


うだうだ文句を言いながら階段を降りていく。
これ、帰りのほうが辛いんだ。階段駆け上るからね。


ふと、前に視線を向ければ前方から可愛い可愛い後輩であり、私の彼氏がやってきた。


『あーかやっ!』


「うわぁっ!!?」


めちゃくちゃ驚いてプリントぶちまかしおった、こいつ…。


『だ、大丈夫?ごめんね…』


「あ、いや、前が見えてなかっただけっす。移動教室っすか?」


『うん、音楽室まで』


そういうと焦ったように私を押す。


「それじゃ、急がないとっすよ!」


『え、でも赤也が…』


「大丈夫っすから!丸井先輩連れてってください!」


「仕方ねぇなぃ…ほら、A子行くぞ」


それだけ言うとブン太は私の腕を引っ張って連れていこうとする。
でも、そこは私だって女の意地というか彼女と意地というかそういうものがありまして…


『でも、ブン太っ…』


「あーもう、仁王ちょっとこいつ連れてって。ほら、赤也手伝ってやるからよぃ」


こら、彼女の私を差し置いて赤也に近づくな!お前、今日からホモって呼ぶぞゴラァ!!!!!


そんなこと天下の丸井様にはいえないので渋々仁王に腕を引かれて先に行く。
なんか…悔しいけど、仕方ないか。私が遅れたらきっと赤也は自分責めちゃうし。
別に授業遅れるくらい問題ないけど。































お昼の時間になるとブン太の机を巻き込んで仁王と三人分の机をくっつける。
ブン太は四時限目が終わってから即ダッシュで購買部まで走った。
多分、今頃戻ってきてる頃かな…なんて思いながらお弁当を広げる。
お弁当があるのに購買部に行くのはデザートの買い占めのため。この役は一番ブン太に向いてるでしょ?


「ほら、買ってきたぜぃ」


『さすが天下の丸井様、素敵♪』


なんて、褒めとけばまた明日もブン太は行ってくれるからいい奴だと思う。


「A子せんぱーい!」


教室のドアのほうで私の名前を呼ぶ可愛い声…もちろん、それが誰か知っていて私は返事をしない。
ちょっといじめたくなっちゃうんだよね、赤也可愛いからさ♪


しばらく無視しないでくださいよー!とか聞こえてたけどいきなりその声が消えた。
ちょっと心配で振り返ると教室のドアの前に座り込んで不貞腐れてる赤也がいた。
むぅ…なんで無視なんすか、とでも言いたそうな顔をしている。


『赤也、おいで!』


そう言うとまるで犬のように飛び跳ねてこちらにやってきた。
うわぁ…今、耳と尻尾見えちゃったよ、しかもめちゃくちゃ尻尾振ってたよ…
そんな幻覚まで見えるほど私は赤也が可愛いようです。


「なんで無視したんすかっ!」


『無視じゃないよ、聞こえてたよ?ちょっといじめただけぇ〜』


そう言って私の隣まで来た赤也の鼻を摘んでやる。
すると、うぅ〜…と目を閉じて痛みに耐えてるみたい。可愛いなぁ…


「俺、今日はここで昼飯食いますから」


『ん?いいの?別に私達はいいけど』


「いいんすっ、ここで食べますから」


なんか机ないの可哀想だな…。


『仁王、私の可愛い彼氏のためにイス譲ってよ!』


「嫌なり」


『…プリン没収!』


「あっ!」


隙ありっ!とでも言うかの如くプリンを奪い赤也に渡す。
イスと交換じゃ、ボケ仁王め。


『赤也、はいプリン!ブン太にお礼言っておいてね!』


「おっ、丸井先輩ありがとうっす!」


「あー…うん、別にいいんだぜぃ。俺は」


「プリン…我のプリンを奪ったのは…誰じゃあ!」


『煩い!黙れ!うちの可愛い赤也くんにイスを譲らん貴様が悪いわ!』


そう言って仁王のパンを一口かじってやった。
一口目を私に奪われた屈辱はどうだ!この野朗!


「ふん、奪われたところでなんとも思わんな。むしろ歓迎じゃ」


『………………………、は?』


そう言って遠慮なしに食べようとするのを赤也は見逃さなかった。


バクッ―


「あ」


「おー」


『あ、かや…』


「A子先輩と間接キスしていいの俺だけッス!」


はずっ…!!!///
何この子、むちゃくちゃ恥ずかしいんですけどっ!//


うん、でもこういう私に懐いてくれるところも大好き。
本当、わんこみたい。



私の彼氏は甘えたわんちゃん
(先輩、膝枕ぁ〜)(はいはい…この甘えためっ…w)(いっつもA子だけじゃのぉ)(当たり前だろぃ、赤也の彼女なんだからよぃ)
(こういう甘えたなところも可愛くて好きだけどね…♪)




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赤也っていつ見てもわんこみたいで可愛いですよね。
年下彼氏だからこその特権ってなんだろう…って思ったらとことん我が儘、って出てきました(管理人の脳内の辞書で)。
でも、これ誰でも出来ますよね…まぁ、いっか。

 

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