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□チョコレート
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暑い…暑すぎてもう体が溶けるんじゃないかってぐらいに暑い。
『あーもう、チョコ溶け始めたぁー』
立海大附属中学校男子テニス部部室…
ただでさえむっさい上に暑苦しいってのに夏にそんなところでチョコレート食べたら溶けるに決まってる。
でも、私がこんなところにいるのには理由があるんだもん。
窓を開ければ少しだけ吹いている風が入ってきて涼しい。
外を見ればほら、愛しい彼が走り回ってる。
『ブン太ってあんなに動いてるからいくら食べても太らないんだね…恐るべし、成長期。』
つくづく思う、いっつもお菓子食べてるのに太らないブン太は暴飲暴食の神なんじゃないかって。←
七つの大罪の「暴食」の器でも持ってんの?あの子。恐ろしいなぁ…
あーでも暴食とはまた違う?だってなんでもかんでも口の中に…まぁ、食べ物は入れちゃう系男子だけど。さすがに骨とか人肉とかは口の中に入れてないし、血を赤ワインみたいに飲んだりしてるわけじゃないんだし、暴飲暴食ではないね。まぁ、度を越した食事をしているには違いはないんだろうけどさぁ…
「お前、人を悪魔と一緒にしてんじゃねぇよ」
『あ、ブン太っ!』
私が云々小さい脳味噌絞って考えているといつの間にか練習は休憩に入っていたらしい。
もちろん手の中にあるチョコレートもどっろどろ。
『うわっ、めっちゃ溶けてる…!』
「アホだろ、こんな夏場にチョコって…」
『糖分欲しかったの!』
だって、朝早起きして宿題やってきたんだもーん
私はどこかのだれかさんとは違ってちゃんと計画立ててるんだもーん!
なーんてことは丸井くんにいえないのですが。
「糖分、ねぇ…俺も欲しい…」
『じゃあ、チョコ食べる?まだあったはず…』
って、カバンの中に入れてたら結局ドロドロじゃん。うっわーやっちまった。
『あったぁァぁぁあああああああああああああ!!?』
右手で探し出したチョコをカバンから引っ張りだすと左手をブン太に舐められていた。
『何してんのっ!!?』
「ん、糖分補給」
『するとこ間違ってるでしょっ!!?』
アホか、こいつは!
すると、あーはいはい、と言いながら何故か私の左手についたチョコを手で取り空いているほうの手で私の顎を掬った。
『な、なに…』
「こういうことだろぃ?」
そう言って怪しい笑みを見せたかと思うと手についたチョコを私の唇につけてキスしやがった。
『んっ…』
口の中に舌が侵入してきて一気に口内の甘さが増した気がした。
「あまっ…」
『バカっ!!!///』
「いてっ…ったく、なんだよぃ。まぁ、これで後半も頑張れる。ありがとな」
そういって笑って部室を出てくもんだから蹴り飛ばしてやろうかと思った。
チョコレート
(甘い甘い魔法が溶けるとき)
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夏場のチョコレートの溶けるスピード半端ないですよね。
恐ろしいです。