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□果汁100%
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放課後……


今日は丁度テニス部が休みで、明日までに提出のものがあったので教室に残って整理していると英二がやってきた。


「にゃにしてんの〜?」


『………』


「え、無視?」


『見てわかんないの?頭大丈夫?』


「ちょ、ひどくないっ!!?」


あと少しってところで思わぬ邪魔が入り私の気分は最悪。
また帰る時間伸びたわ、これ確実に。
まぁ、遅くなったら送ってもらおう。どうせ隣だし、家。


『で、なんで英二残ってんの?せっかく部活休みなのに』


「ん?不二くん待ち〜」


『………危ないことするなよ』


「どういうことにゃ?」


『いや、なんでも…』


不二だけでも危ないのにそれにこの馬鹿(良い意味で)が追加されたらどうなっちゃうのよ。
てか、不二見つけてリョーマくんみたいにさっさと帰りなさいよ!


「あー!これ!」


『わぁっ!!?』


突然英二が大声をあげるもんだから書いていた文字を間違えてしまった。
また消しゴム使わなくちゃじゃんか…


英二が何に反応したのか見てみると私が飲んでいたリンゴジュースに惹かれたらしい。
学校の前にある自動販売機で朝買ったやつだからぬるくて美味しくはないけど、果汁100%だからそれでなんとか味は…ね。


『どうしたのよ…』


「これ、果汁100%じゃんっ!」


そう言って両手でこれでもかってぐらい大事そうにリンゴジュースを扱う英二を見てると笑えてきた。


「なんで笑うのにゃ!!?」


『い、いや…そんなリンゴジュースなんかに夢中になって、ふふ…』


「何言ってんだ!リンゴジュースの果汁100%っていうのはな…とにかく、すごいんだ…」


『いや、普通に売ってるし…』


「にゃぁ!!?売ってるの!?見たことない!」


『世間知らずか、お前は』


我が幼馴染ながら馬鹿らしい。


「え、ちょ飲んでいい!!?」


『いや、私の飲みかけっ…!』


言い切ったときにはすでに時遅し。
ペットボトルの蓋を開け、飲んでいた。


え、これあれだよね?俗にいう…


『間接…キス、じゃん…』


「うまっ!どこで買ったのっ!!」


目をキラキラ〜と輝かせて聞かれても今の私はショックしかないよ。
幼馴染と間接キスだなんて…しかもこんな馬鹿と…悔しい…っ!


『馬鹿やろー!』


勢いよく教室を飛び出してそのまま玄関まで走って靴履き替えて飛び出した。
カバン忘れたとかもうどうでもいい!


帰り道、全力疾走で家路につくとリョーマ君が英二の家の前にいた。


『あ、あれ?りょ、リョーマくん?』


「あ、Y崎先輩。どもっ」


『英二に何か用事?』


「部室にタオル忘れてたんで」


『はぁ?何やってんの、あの馬鹿……』


そう言ってリョーマ君からタオルを受け取るとそこには昔私が書いた文字が。



"きくまる えーじ"



すごく不恰好な文字で自分の字のはずなのに笑えてしまった。
しかも、「い」が「ー」ってどんな勘違いしてたの私ってば。


すると後ろからA子ー!、と叫んでる声が聞こえてきた。
振り返ると英二が人のカバン振り回して走ってきていた。


「はぁ…早いよ、A子…」


『現役テニス部の奴がそれ言うな、ボケ』


そう言ってタオルを英二の頭に叩きつけてカバンを奪う。
その間リョーマ君は一言も発さずにいた。


「あれー!!?にゃくなったと思ってたんに!」


「部室においてありましたよ」


「あ、ありがとーおチビー!」


「…じゃっ」


それだけ言うと英二の抱擁をスルーし、リョーマ君は帰っていった。


『良かったね、見つかって』


「うんっ!」


『てか、そんな古いのまだ使ってたの?』


「当たり前だろ!!?初めてA子がくれたもんだしっ!」


そうだ、私が始めて英二にプレゼントしたもの。
英二がテニスをやるようになって私はいつも見ているばかりだった。
それでも少しでも応援したくてタオルなんてプレゼントしたけど…ここまで大切にしてくれてるなんて思ってもなかった。


『でも、すごいボロボロだよ?』


「うん」


『私、それ以外にもあげたよね…確か…』


「うん、もらったよ!でも、これがいい」


『なんで?』


「…名前」


『え?』


「オレの名前が書いてあるから」


『そ、それだけ?』


「そう、それだけ」


何言ってんの、この子…
それぐらい言ってくれれば書くのに…本当、アホ。


『もう、そのタオルは捨てなさい』


「え…?」


一瞬驚いたような顔を見せたと思うと、次の瞬間悲しそうな表情になった。
別に英二にそんな悲しそうな顔をさせるために言ったんじゃないのに…


『新しいタオルあげるし、名前も書いてあげるから』


「え?えっ!ほんと!!?」


『あー!もう煩いっ///書いてあげるからそんな古いのは捨てて!』


「ほんと?約束だよ?」


『分かった、分かったから!ちょ、くっつかないでよ!ばかっ!///』


どうして英二がここまで私に懐いてるのかは知らないけど、昔は私も英二にべっとりだった気がする。
あー!思い出すだけで恥ずかしいっ!!!!////






果汁100%
(あ、それとさっきの間接キスだね!)(…っ!///)(A子?)(言うなっ!ばかっ!///)
(あー照れてる、照れてる〜)(英二のばかっ///)





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青学では一番ぐらいに菊丸が好きです。
私の脳内でリョーマくんといい勝負(テニス的な意味でなく)してるのが謎です、はい。

すぺしゃるさんくす→Endless4様

 

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