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□電車越しの
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朝、すごく早い時間。
まだ、すごく寒い時間。


それでも私は家を出て駅に向かう。
氷帝学園テニス部のマネージャーとして今日も1日が始まる。


跡部を部長に忍足、岳人、宍戸、ジローちゃん、滝…いや、滝くんはちょっと違う?まぁ、いいや。
そして二年の樺地、日吉、鳳…それから、監督の榊先生。
榊先生は音楽の先生だからいちいち呼び出しのときに音楽の単位をかけてくるんだよね。
ちなみに岳人とは付き合って…って言うこともないか。


あ、そういえば今日音楽だ。
朝会って、授業で会って、放課後も会うのか。ちょっと嫌かも。
別に榊先生は嫌いじゃないけどね、でもなんか嫌。


そんなことを考えながらちんたら歩いていると踏み切りが閉じる音が聞こえてきた。
駅までもう少し、でも、走らないとやばいかなっ!!!!!!































はぁ…はぁ……



駆け込み乗車完了!


…駆け込みはいけないんだけどさ、本当は。




とりあえず、空いてる席に腰を下ろす。
マフラーしてるのちょっと暑いかも…げほっ


息を整えて周りを見渡すとやはりいつもと同じですっからかん。
あれ、でも岳人とか日吉もいないのか。


大体いるんだけどな。
日吉は電車の中で眠り込んでるけどね、8割は。
でも、岳人がいないなんて…


そう思って隣の車両を見るとすぐ隣に岳人がいた。
いや、正確には私が二両目の隅に座ってて、岳人も三両目の隅に座ってるってだけ。


三両目に移動しようかと考えたけれど、なんだか岳人が少し考え事をしているように見えたから大人しくまた腰を下ろした。
私も大人しくマフラーに顔を埋めて寝ようか、そう思ったがやめた。
だって、コンコンって窓を叩く音がしたから。


そちらに目をやれば岳人がニカーと笑っている。
あれ、さっきまでの真面目ながっくんは何処行っちゃったの?
まぁ、普段の岳人のほうが私は好きだよ。


私はそんな笑顔を朝から返せる自信がなかったので、手を振るだけにした。
そしたら岳人も手を振りかえしてくれたので安心した。


そして岳人が口パクで何か言った。
しばしきょとん、としてその言葉を理解すると顔に熱が集中するのが分かった。
何言ってんの、この子…恥ずかしい奴っ…!///






車両越しの
(愛してる)(その言葉はまるで魔法みたいに私の頭の中でリピートされた)
(おはよっ、A子)(煩い、バカ)(あ、分かった?口パクの)(ふん、岳人のことならなんでも分かるもん)
(へー…そりゃ怖い)(つか、ついてくるな!)(はぁ?同じところ行こうとしてんだから無理)
(愛してんよー!A子ー!)(くっつくな!離れろ!叫ぶな!駅だっての!)
(私の彼氏はちょっとおバカさんみたいです、まる)




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氷帝組では跡部様の次に好きです。可愛いもんっ!
岳人のジャンプは何メートルまであるんだろうなぁ…っていつも考えてます。

ちなみに、三両目の反対側の隅には日吉がいて一部始終を見ていて呆れていたとか。
駅でもこのあと、「公共の場でイチャつくのやめてもらえますか、しかも氷帝の制服で」とか言えばいいと思う←

 

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