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□7秒後には君の腕の中
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(主人公は跡部の(幼馴染→)彼女だけど親の都合で立海の生徒.)




〜♪〜♪〜♪


きたっ!!!!
携帯から流れてきた音楽は景吾専用の着信音。


がっ、とものすごい勢いで携帯を掴み通話ボタンを押す寸前に動きが止まる。
焦って出て声が裏返ったりしたら恥ずかしいし、何しろ電話を待っていただなんてバレたら景吾に迷惑になっちゃう。


一度深呼吸をして落ち着かせる。


『もしもし?景吾?』


分かってるくせにいちいち確認するのは電話を待っていただなんて知られたくないから。
本当、私は可愛くない彼女だと思う。


「俺様からの電話なのにおせぇな、あーん?まぁ、今回は許してやる」


景吾、今回は…って言うけどそれもう何十回目?
毎回毎回許してくれてありがとうとは思うけど、嘘はよくないぞっ!!!


「なんだ、もう寝てたのか?」


『小学生じゃあるまいし、まだ寝てないよ。ちょっと携帯から遠いところにいたの。』


嘘つき。
本当は今か今かと携帯前にして正座して待ってたくせに。
もう付き合いだして一年以上過ぎてるのに毎日毎日こんなことしていつまで初々しい気分でいるんだって話だけど。


「そうか、A子は今日何があった?こっちは忍足が怪我したくらいだ」


『別に、いつも通り。あと忍足くんにお大事にって伝えておいて。』


ああああああああああもうっほんっと可愛くない!
お疲れ様の一つや二つは言えんのか!私は!ちきしょー!


なんだかむしゃくしゃして枕をぎゅぅーっと握り締める。


「A子…」


『ん?』


「会えなくて、その…寂しくないか?」


驚いた、景吾から寂しくないか…なんて。
まぁ、すっごく寂しいんだけど。


でも、そんなこと言えるわけないでしょ?
景吾はいつも頑張ってるのに困らせるわけにはいかないもの。


『別に、寂しくなんかない。景吾なんていなくても平気だもん』


…違う言い方、少しはあるよね。
ごめんね、景吾…私全然素直じゃなくて。


景吾は付き合い始めてからなかなか会えないからって毎日電話してきてくれるのに…
心配かけないように、困らせないように…って言葉を選んだ結果がこれだもの。


こんな彼女、嫌いになっちゃうよね。


「そうか、俺はA子に会いたい…今すぐに抱き締めたい」


涙堪えて枕握り締めて歯を食いしばっていると予想外の返事が返ってきて驚いた。


「毎日電話なんてもんしてるけどな、それでも寂しいんだよ。
A子が会いたいと思わなくても俺様は今すぐにでもA子に会って抱き締めたい。
A子が俺様に気を使ってることぐらいバレてんだからな、あーん?」


『けい、ごっ』


あぁ、情けない。さっそく涙目になって私って本当泣き虫。


電話越しに息を吸う音が聞こえた。


「A子は俺様に会いたくないのか?」


少し悲しそうな、絞りだしたような声。
そんなわけ、ない。


『会いたい…会いたいよぉ、景吾ぉ……ふぇっ……』


情けない、涙流して枕抱き締めて忙しい彼氏に電話越しに甘えてどこの駄々っ子だ。


こんな可愛くない彼女なのに、その上駄々っ子とか、絶対捨てられるじゃん……



「そうか、そういえば今お前の家の前にいるんだ」


『……!』


「会いに、来るよな?」


その言葉を聞き届ける前に私は部屋を飛び出し階段を駆け下りた。



7秒後には君の腕の中
(景吾っ!!!)(うぉっ、ったく…もっと早くに素直になれよ、あーん?)
(そう言いながら強く強く抱き締めあった)(毎日君に会えない分充電は今しておきます。)



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大好きな人に向かって「今充電中だから…」とか言うのすごい可愛いと思う。

 

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