デュラララにトリップ!
□首なしライダー 主観
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セルティ『…新羅、…誰だ、コイツ』
首なしライダー 主観
新羅視点
----数時間前----
新羅「セルティ、おかえりーーーっ!」
セルティが帰ってきたと思い、扉を開けた新羅の目の前に現れたのは、ハルバートを片手に持ち、もう片方の手が血まみれの見るからにまだ高校生の男子だった。
新羅(…え?)
セルティにしては早すぎるとは思っていたがまさか、こんな夜遅くにこんな傷を負ってしかもハルバートを持った高校生が来るとは思っていなかった…
新羅「…ちょっ…え?ええっ!?ちょっとその傷、どうしたの!?…と、とりあえず上がりなよ。そのままじゃ、僕が困る。」
きっと彼は自分が持ってるハルバートで自分の腕を切りつけたんじゃなかろうか。
もう、片方の腕は使えなさそうなほどの傷だった。
ハルバートの切っ先は紅く紅く彩られている。
とりあえず、部屋に上がらせたのはいいものの、彼は、ただただ無表情で無言。
----普通、こんな傷を負えば、立っているだけでも辛いはずなのに…
そうだ、こんなに血を出せば貧血で倒れてもおかしくない。
というか、此処まで歩いてこれただけでもキセキと呼んで、おかしくない。
どんなに力をつけた男子でも、こんな傷を負えば、苦痛に顔を歪めるだろう。
なのに、彼は痛みさえも感じていないかのように、無表情。
顔のどこも動かさない。
目だって、さっきから一度も瞬きをしていない。
----まるで、人形のようだ。
ついつい、見つめてしまう。
新羅(ああ、良かったーセルティに感情があって良かったー)
セルティとは、今、一緒に同居中の愛人だ。
----そう、あのすらっとした身体に、あの綺麗な手足…そして、あの…
ああ、危ない危ない。
彼女の事を話し出すときりが無いから。
とりあえず、今は目の前の少年に気を配らなきゃ…
すぐ、治療を始める新羅。
----沁みないのかな?
薬を傷に塗りながら、少年の表情を確かめるも、ただ無表情で無言。
痛みをこらえるどころか、眉、一つ動かしはしない。
新羅「ねぇ、此処に行けば治療してもらえるとか、誰から聞いたの?」
今までで一番聞きたかった事。
自分で言うのもなんだが、僕は、闇医者だ。
整形手術とか、そんなのをする。
とにかく裏でしか知られていないのに、どうしてこの少年に気づかれたのかを知りたい。
しばし無言の後、少年は言った。
融『…友達に、教えてもらった。』
……
----喋れるんだ!?
顔には出さなかったものの、心底驚いた新羅。
新羅「…その友達って裏の人間?」
慎重に聞く、新羅に対し。
融『……?』
僅かに首を傾げる少年。
----分からない…か。
新羅「このこと、親にはちゃんと言った?」
融『…親は…いない。』
----いない?
少々、驚きながらも、少し困った新羅。
こんな傷で、とても帰れるとは思わないんだけど…
まず、一人だったら、しかも、ハルバート持ってたらカラーギャングに捕まる可能性大だよね。
新羅「誰か、迎えに来てくれそうな人っていないの?」
すると、少年はハルバートを床に置き、ズボンのポケットから、携帯を取り出し、僕に向けて言った。
融『…友達が…来てくれる。』
紫色の携帯だった。
そういえば、彼は髪の色も紫だ。
目の色は赤で…
この赤い目…まるで罪歌…
----外国人かな?
いつの間にか治療が終わっていた。
新羅「じゃあその友達が来るまで此処にいなよ。」
正直、興味を持った。
----こんな無表情で、心があるのかな?第一、何を見ているの?
少年が何を見て生きているのかを非常に興味を持った。
少年は僕の言葉を理解するなり、自分の携帯をポケットにしまい、ハルバートを持って、邪魔にならないように、部屋の片隅に座った。
新羅「あははははっ」
つい笑ってしまった。
新羅「そんな遠慮しなくていいよ。」